関電、290億円の赤字。再値上げの可能性も

2014年08月01日 08:37

 2013年9月に行われた値上げに続き、関西電力<9503>が再び電気使用料金を再値上げする可能性が高まってきた。30日、関西電力は14年4月~6月期の連結決算を発表。それによれば、売上高は前年同期比10%アップの7912億円、しかし経常損益は322億円の赤字、最終損益も290億円の赤字という結果であった。なお、経常損益、最終損益は前年同期も赤字で、それぞれ経常損益が425億円、最終損益が334億円の赤字であった。

 こうして第1四半期が赤字となるのはこれで3年連続だが、しかし電気使用料金の値上げや株式の売却益などが寄与して、マイナス幅が縮小し、売上高についてはプラスとなった。

 しかしそうしてマイナス幅が縮小したものの、経常損益、最終損益ともに3年連続の赤字。それは、一向に再稼働の見通しが立たない原子力発電所の稼働停止に伴う火力発電の燃料費がかさんだ結果とみられている。また、このまま再稼働が行われなければ、再び電気料金の値上げが実施されることは避けられない見通しだ。
 
 また、これまで一部未定とされていた14年4~9月期の連結業績予想も発表され、それによると連結売上高は前年同期比5%アップの1兆7000億円で、最終損益は290億円の赤字と予想されている。前年同期の最終損益は150億円の黒字であった。しかし原子力発電所の再稼働の見通しが立たないとの理由から、通期の見通しに関してはこれまでと同じく未定としている。しかしこのまま原子力発電所の稼働が再開されない場合には、火力発電の燃料費が前の期よりも約1230億円増加するとの試算も発表した。

 もしこのまま原子力発電所が再稼働されず、電気使用料金が値上げされることとなったら、4月に実施された消費税増税と相まって家計に負担を強いることとなるのは想像に難くない。しかしだからといって、「料金が値上がるから」という理由で原子力発電所の再稼働を認めるのはやはり安易と言うべきだろう。

 国民それぞれが痛みを伴いつつも「安全」を守るのか、それとも、やはり再び原子力発電にエネルギー供給を頼る道を辿るのか、日本はその大きな岐路に立たされている。(編集担当:滝川幸平)