地方自治体などが、町おこしや商品PRのために作成する「ゆるキャラ」。全国区で有名になるキャラクターが出てくる一方、今年4月には大阪府が、増えすぎた「ゆるキャラ」のリストラに乗り出すなど、ブームをやや沈静化させるような動きもある。流行に便乗して作られたものの、PR効果がはっきりしないキャラクターもいるようだ。
「ゆるキャラ」ブームの勢いはすさまじい。2010年に初めて開催された「ゆるキャラグランプリ」では、エントリー数はわずか169体だったが、12年には865体、13年には1580体まで増えた。もともとは漫画家のみうらじゅんと、イラストレーターの安齋肇が名付けた「ゆるいキャラクター」のことを指すが、一躍有名になったのは2010年。奈良県の「せんとくん」が、市民や仏教界などから「気持ち悪い」「仏教を侮辱している」などと批判され、話題になった。同年からは「ゆるキャラグランプリ」が開催され、11年には「くまモン」が王者に。13年に初めて開催された「ご当地キャラ総選挙」では、千葉県船橋市の「ふなっしー」が1位となり、ブームとなっている。「総選挙」のエントリー数は480体もあったという。
ゆるキャラが増えるにつれ、「生き残り」をかけた競争も激化している。日本リサーチセンターが、全国の15~79歳までの男女1200人に調査したところ、最もよく知られているのは「くまモン」と「ふなっしー」で、いずれも認知率は8割半を超えた。ところが、4割以上の認知率があるのは上記2つに加え、奈良県の「せんとくん」、滋賀県彦根市の「ひこにゃん」、兵庫県尼崎市の「ちっちゃいおっさん」のみ。選択肢にあった27種類のゆるキャラのうち、20種類は認知率が2割以下だった。
「ゆるキャラ」はもともと、地域のマスコットとして密かな人気を集めていたもの。ほとんどのキャラに、全国的な認知度がないのは当然だろう。が、PR効果が不明瞭な「ゆるキャラ」たちに税金を投じ続ける是非を問われ、大阪府が「リストラ」に乗り出すのも分からないではない。(編集担当:北条かや)