埋め立て費用が経営を圧迫 関西国際空港に未来はあるのか

2014年08月10日 13:04

画像・埋め立て費用が経営を圧迫 関西国際空港に未来はあるのか

関西国際空港島とりんくうタウンを結ぶスカイゲートブリッジR。埋め立てにかかった巨額費用が経営を圧迫し、新関西国際空港会社は約1兆2,000億円もの負債を抱える。2016年1月をめどに空港の運営権売却を実施する予定だ。

 新関西国際空港会社の関西国際空港と大阪(伊丹)空港の運営権売却について、太田昭宏国土交通相は7月25日付けで国土交通省が承認を下したと発表した。運営権売却の条件としては、入札最低額が2兆2,000億円、運営期間は2015年からの45年間となっている。今後、法律にのっとって手続きが進められる予定だ。入札の開始は10月を目指しており、15年6月に優先交渉権者を決定し、16年1月には運営権の移行を成立させて、新たな企業連合による運営を開始するとしている。 

 早くも名乗りを上げているのは日本生命だ。関西経済同友会代表幹事でもある日本生命の加藤貞男副会長は、運営権売却について「参加者としての意欲はある」と述べ、条件にもよるが入札を前向きに検討していることを明らかにした。連合する企業や今後の事業計画に注目が集まりそうだ。

 約1兆2,000億円もの巨額負債を抱える新関西国際空港会社は、運営権の売却による利益を借金の返済に充てるとしている。大阪湾を埋め立てて設置された関西国際空港は1994年に開港した。39年に開港していた大阪空港に寄せられる騒音苦情に対応するため、将来的に大阪空港の廃港も計画に入れながら需要を徐々に関西国際空港へ移していくことが目的のひとつでもあった。しかし関西国際空港に比べ利便性の高い大阪空港の客足は衰えることなく、計画はとん挫。関西国際空港は埋め立てでかかった建設費用の返済に利益が消えるという悪循環から抜け出せず、経営に苦しむこととなった。そこで2012年に実施されたのが大阪空港と関西国際空港の経営統合だ。新関西国際空港会社が新しく設立され、2つの空港を効率よく一体的に管理し、株式は国がすべて保有すると法律で規定を設けた。

 運営権売却によって見込まれる利益は年490億円で 45年間で総額2兆2,000億円となる。国は売却によって得た資金を負債に充てるほか、民間企業が持つノウハウを積極的に導入して効率化を図り、利用者へのサービス向上にも繋げたいとしている。関西の空の玄関口再生に期待がかかる。(編集担当:久保田雄城)