ソフトバンク<9984>が2014年4~6月期の連結決算を発表。これにより、携帯会社大手3キャリアそれぞれの4~6月期の連結決算が出そろうこととなった。その結果、NTTドコモ<9437>の売上高が前年同期比3.4%ダウンの1兆753億円、auのKDDI<9433>の売上高が前年同期比1.8%アップの1兆205億円であったのに対し、ソフトバンクの売上高は前年同期の約2.3倍の1兆9922億円と過去最高を更新し、ほかの2キャリアを大きく引き離す形となった。
8日、ソフトバンクが14年4~6月期の連結決算(国際会計基準)を発表。それによれば、売上高は前年同期の約2.3倍の1兆9922億円、本業のもうけを示す営業利益は前年同期比15.6%ダウンの3367億円、純利益は前年同期比68%マイナスの776億円という結果であった。売上高は2期連続で過去最高を更新したものの、売上高、純利益については前年同期を下回った。前年同期に発生したガンホーオンラインエンターテインメントの子会社化に伴う保有株の評価益1491億円がなくなったことや、中国の電子商取引大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)の転換優先株の調整損失を計上したことなどが影響した模様だ。
売上高が過去最高の1兆99222億円となった要因は、アメリカの携帯会社大手のスプリントなどの買収による影響が大きい。しかしスプリントの14年4~6月期の連結決算は、売上高が前年同期の88億7700万ドルから87億8900万ドルと減少、純利益は前年同期の15億9700万ドルの赤字から2300万ドルの黒字へと改善されたものの、月次契約者数が24万5000件流出するなど、決してスプリントを取り巻く状況は楽観視できるものではない。そのためソフトバンクは、今後スプリントの顧客獲得に注力していくとしている。
そして通期の業績予想に関しては、売上高が8兆円、営業利益が1兆円と据え置いた。
各キャリアともに横並びの料金で国内通話完全定額制サービスを実施するなど、さらなる業績拡大に向けて激しい競争が続く携帯電話業界だが、14年4~6月期に関してはひとまずソフトバンクが頭一つ抜け出る形となった。しかしNTTドコモも減収減益ながらも国内通話完全定額制サービスの加入者数を順調に伸ばしており、またKDDIも増収増益と好調さを示している。このままソフトバンクが独走するかどうか、まだまだ予断は許さぬ状況だ。(編集担当:滝川幸平)