赤字転落必至か 牛丼店「すき家」のゼンショーHDが業績下方修正

2014年08月11日 09:35

Sukiya

看板商品の値下げと過酷な労働環境を嫌った人手不足で業績低下を招いたゼンショーHDの「すき家」。写真の店舗の2階はアルバイト従業員の研修施設という都内でもめずらしい店舗だ。

 国内牛丼チェーン大手3社(吉野家HD/ゼンショーHD/松屋フーズ)の2014年4月-6月の第一4半期の業績が明らかになった。

 4月の消費増税に合わせて値上げを実施した吉野家HDと松屋フーズは増益となったものの、逆に値下げして集客に的を絞った戦略で臨んだゼンショーHDは23億円あまりの赤字となった。

 具体的に3社の第一4半期決算数字を記すと、牛丼店「すき家」を展開するゼンショーHDの売上1201億4500万円(前年比110.0%)/営業利益▲23億3100万円と初めて赤字に転落した。「松屋」を運営する松屋フーズは売上194億9600万円(前年比102.0%)/営業利益4900万円の黒字。「吉野家」を展開する吉野家HDは売上443億2500万円(前年比104.0%)/営業利益5億5500万円の黒字となった。

 ゼンショーHDでは、今年になって表面化した過酷な労働環境や深夜のひとり体制による営業から深刻な人手不足を招いていた。その結果、「24時間営業」を看板に掲げるも、深夜営業が出来ない店舗が多数発生した。営業時間の短縮を余儀なくされたため売上は伸びたものの、固定費が回収できなくなり赤字転落にいたったという。

 同社では過日、労働環境改善に向けて設置した第三者委員会から「深夜のひとり体制による営業を早急に改善するよう指示」する報告を受けた。「ブラック企業」とも言われる社会的批判が強まっているなか、同社は9月までに報告に従って「ひとり体制」を解消する構えだ。9月までに解消できない店舗については深夜営業(午前0時-5時)を取りやめる。

 同社の発表によると9月末までに「ふたり体制」に移行できない店舗は約半数の460店あまりと予測しているが、最悪の場合には940店全店で深夜営業を取りやめるという。

 これらを踏まえて同社は2015年3月期の売上見通しを修正し、5250億円(前年比112.0%)となり、当初予定よりも128億円少ない。また、最終損益では赤字となると発表した。同社のメイン商品は集客アップを狙って4月に値下げし270円で販売してきたが、収益悪化に伴って8月27日から291円に値上げする。(編集担当:吉田恒)