情報漏えい問題でゆれるベネッセだが、それが響き2015年度第一四半期は赤字に転落した。ベネッセホールディングス<9783>は31日、2015年度第一四半期(2014年4月1日~6月30日)の業績を発表した。
それによると、同期の売上高は前年同期比2.2%増の1155億1900万円、営業利益は同12.4%減の49億8200万円、経常利益は同18.4%減の47億1900万円、純利益は前回の26億3400万円の黒字から136億3700万円の赤字に転落した。
増収の主な要因は、国内教育事業領域において、主力の通信教育講座「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の延べ在籍数が減少したことに伴う減収があったものの、学校向け教育事業が好調に推移し売上を伸ばしたこと、語学・グローバル人材教育事業領域において、円安による為替換算時のプラス影響があったこと、シニア・介護事業領域において、高齢者向け生活ホーム数を拡大し入居者数が増加したことなど。
一方、連結営業利益は、国内教育事業領域における「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の減収に伴う減益や、「進研ゼミ」の小学講座から高校講座のうち9学年でタブレット教材を導入したことによる費用の増加等により、減益となった。連結経常利益も減益となった。
そして、連結四半期純利益は、経常利益の減益に加え情報漏えいに伴う情報セキュリティ対策費が特別損失として260億円発生したこと等により、前回の利益から損失に転落した。
この情報漏えい問題については、 現時点では、捜査当局に全面的に協力するとともに、個人情報漏えい事故調査委員会による事実関係の調査中であり、ベネッセコーポレーションの新規の営業活動を停止しているという。このような状況下では、事業への影響を合理的に見積ることは困難であるため、当期の業績予想については未定としている。今後、業績予想の開示が可能となった時点で、速やかに開示するとしている。
ベネッセの情報漏えい事件は、流出情報が最大2070万件と言われる大規模なものだ。それへの対応費用も260億円という多額なものとなり、同グループの業績に大きな打撃を与えた結果となった。(編集担当:慶尾六郎)