MotoGPオランダ M・マルケス敵なしの8連勝で難レースを制す

2014年06月30日 09:45

 MotoGPオランダGPは、6月28日に伝統のTTサーキット・アッセンで決勝を迎えた。アッセンは1949年の第1回大会から連続開催、今年で66回目のGPとなる伝統のサーキット。フラットなコースながら、様々なコーナー、切り返しがレイアウトされており、マシンの運動性とライダーのテクニックの両方が問われる難コースだ。

 もう一つ、このサーキットで特徴的なのは、「ダッチウェザー」と呼ばれる独特の天気。短期間に雨が降ったりやんだりする不安定な天候は、毎年のように波乱を呼ぶ。今回のオランダGPもこのダッチウェザーに悩まされる展開となった。

 予選Q2、一番時計を出したのはアレイシ・エスパルガロ(NGMフォワードレーシング)だった。

 セッション開始と共に雨模様となった予選では、スタート直後の1周が勝負となった。難しいコンディションの中、この1周で勝負に出たA・エスパルガロがポールポジション、連勝を続けるマルク・マルケス(レプソルホンダ)が2番時計、同チームのダニ・ペドロサが3番時計という結果となった。

 予選でタイミングを逃したモビスターヤマハMotoGPは、ホルヘ・ロレンソが9番手、バレンティーノ・ロッシが12番手となった。

 決勝当日、やはり問題となったのはダッチウェザーだった。決勝スタート直前、降り出した雨によってスタートを遅らせる決定がなされ、各チームはマシン選択を迫られた。

  ほとんどのライダーはウェット仕様のマシンに乗り換えたが、賭けに出たV・ロッシは選択が揺れ、最終的にはウェットを選択したもののピットスタート。スタート時点で出遅れる結果になった。

 気温19度・路面温度25度、ウェットレースが宣言される中、決勝はスタートした。ホールショットを決めたのは、M・マルケスだったが、7番手スタートのアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)がこれに追いすがった。先頭争いは序盤からM・マルケスとAドビツィオーゾが抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げた。

 レース6周目には、コースコンディションが回復し始めたため、M・マルケス、A・ドビツィオーゾが同時ピットイン。他のライダーも続々とマシンを乗り換えた。

 ピットアウト直後、M・マルケスがバランスを崩し、その隙をついたA・ドビツィオーゾがトップに立つ。以後、レース中盤はA・ドビツィオーゾがレースを引っ張り、レース10周目には2番手のM・マルケスに4秒以上のリードを築いた。

 レース中盤は3番手以降の争いが激化。フロントロースタートのA・エスパルガロとD・ペドロサが3番手を争って接触すれすれのデッドヒートを繰り広げる一方で、5番手争いも熾烈な争いとなった。

 ピットスタートで不利なスタートとなったV・ロッシだが、レース序盤から猛烈な追い上げを見せて着実に順位を上げ、14周目時点で6番手、16周目には混戦を抜けて5番手まで浮上した。

 さらに、16周目にはM・マルケスが一時は4秒以上あったA・ドビツィオーゾとの差を詰めて逆転。M・マルケスはレース終盤にかけて、徐々にその差を広げ、最後は余裕のパフォーマンスでM・マルケスが混乱のオランダGPを制した。

 中盤トップに立ったA・ドビツィオーゾは2位、D・ペドロサが3位で表彰台を得た。

 ポールポジションスタートで表彰台の期待も高かった、A・エスパルガロは4位、V・ロッシは圧巻の追い上げを見せたものの5位でフィニッシュ。また、9番手スタートのJ・ロレンソは見せ場を作ることなく13位に終わった。

 今回の優勝によってM・マルケスは200ポイントの大台に乗せ、2位のD・ペドロサおよびV・ロッシ(128ポイントで同点)に72ポイントという大きなリードを築いた。

 さらに、Moto3クラスでは弟のアレックス・マルケス(エストレア・ガルシア・O.O)が優勝しており、兄弟同時2連勝という快挙も成し遂げた。

 予選から決勝まで、ダッチウェザーに悩まされた第8戦。不安定なコースコンディションや、伏兵A・エスパルガロの出現によって、M・マルケスの連勝がストップする可能性も十分にあった。

 だが、判断の難しい不安定なダッチウェザーでも、M・マルケスは強かった。レース前のタイヤチョイスもぶれることなく、一瞬バランスを崩す場面はあったものの、そつなくレースをまとめてしまった。

 結果的にはM・マルケスの強さを見せつけられる展開となったオランダGPだが、今回のレースではA・ドビツィオーゾの活躍が光った。昨シーズンまでの成績不振から特例レギュレーションで参加しているドゥカティにとって、この結果は明るい兆しとも言える。難しいレース展開の中、最後までトップを争えたことは大きな収穫であり、次戦以降もホンダ・ヤマハの2強対決にドゥカティが割り込んでくる可能性は高い。

 次戦ドイツGP決勝は7月13日、ザクセン州ケムニッツ近郊のザクセンリンクで行われる。

 M・マルケスが連勝記録をどこまで伸ばすのか、それとも誰かがこの連勝を止めることになるのか。今シーズンも中盤戦。そろそろヤマハ勢の追い上げや名門ドゥカティの復活にも期待したいところだ。(編集担当:熊谷けい)