【日経平均】4~6月期GDPは予測ほど悪くなく52円高

2014年08月14日 00:26

 12日のNYダウは9ドル安で3営業日ぶりの小幅反落安。NASDAQは12ポイント下落した。280台分の「人道支援物資」がロシアからウクライナ東部に出発すれば実効支配を固めるための謀略工作ではないかと疑われて地政学的リスクやまず、ドイツのZEW景況感指数の市場予測を下回る悪化がリスクオフに輪をかけマイナス圏で推移。それでも「漠然とした不安」では大幅安にはならず。原油先物価格の下落でエクソンモービル0.2%下落、シェブロン0.5%下落など資源・エネルギー関連は軟調だった。13日朝方の為替レートはドル円が102円台前半、ユーロ円が136円台後半で、ユーロが少し安くなった。

 CME先物清算値は15115円。取引開始10分前に発表されたのが、消費増税の影響で下落確実で、下落幅がどの程度か市場関係者が「鬼が出るか蛇が出るか」とかたずを飲んで待っていた4~6月期の国内総生産(GDP)速報値。前日発表の「ESPフォーキャスト調査」の予測は年率換算6.81%減、市場予測の中心値は7.2%減だったが、発表数字は6.8%減で、出てきたのは「ヘビ」ですんだ。

 日経平均は49.55円安の15111.76円で始まるが、GDPはあなたが思うほど悪くないと東京市場は元気を出して午前9時19分までに日経平均もTOPIXもプラス圏に浮上する。しかし上昇は15193円どまりで15200円にタッチできず小幅高で推移。それも10時前には息切れしてTOPIXとともにマイナスに落ちてしまう。ファナック<6954>が足を引っ張り、ドル円レートも円高方向に振れたので先物主導。15150円付近で底を打ち10時15分頃にはプラスに戻るが長続きしない。上海、香港市場がマイナスで始まると日経平均もマイナスでお付き合いしたが、11時台にはプラスに定着し前引けは15186円だった。

 後場は15180円で再開し、午後0時台のうちに前場は届かなかった15200円にタッチして1時台前半には安定的に乗せる。一目均衡表の「雲」の上限15209円も超えて雲の上に出た。1時台後半から15200円を割り込むが、2時30分に中国の7月の経済指標がまとめて発表され、小売売上高12.2%増、工業生産高9.0%増でどちらもほぼ市場予測通り。日中の経済指標イベントを無事通過して安心感がひろがり、終盤はどんどん値を切り上げ2時55分に14235円の高値をつけるが、大引けでは上値を抑えられ終値は52.32円高の15213.63円で3日続伸。一目均衡表の雲の上には出たが、8日の454円安が思い出に変わる「終値全値戻し」はこの日もお預け。日中値幅は127円だった。TOPIXは+4.44の1262.13。売買高は17億株、売買代金は1兆5429億円で閑散相場が続く。

 値上がり銘柄は1092で全体の60%を占め、値下がり銘柄は553。30業種が上昇し3業種が下落。プラスのセクターの上位は海運、その他金融、鉄鋼、不動産、空運、非鉄金属など。下位は小売、水産・農林、倉庫など。マイナスのセクターは鉱業、医薬品、電気・ガスだった。

 日経平均採用225種は値上がり160銘柄、値下がり56銘柄。プラス寄与度1位はブルームバーグが「アリババが9月16日にNY市場に上場」と報じて後場一段高のソフトバンク<9984>で+19円、2位は電通<4324>で+5円。マイナス寄与度1位はファナック、2位はエーザイ<4523>でともに-2円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>は値動きなしだったが、三菱UFJ<8306>は2.8円高、三井住友FG<8316>は20円高。野村HD<8604>は2.6円高。SBI証券が秋からLINEで株取引ができるサービスを始めるSBIHD<8473>は1円安だった。

 日経新聞の13日朝刊に、国内主要264社の2014年度の研究開発投資計画は前年度から4%増え11.6兆円で5年連続増加という調査結果が掲載された。1位で2014年度の研究開発投資計画9600億円のトヨタ<7203>は9円高、2位で6450億円のホンダ<7267>は36円高、3位で5000億円の日産<7201>は10.3円高で自動車大手が表彰台独占。2.5円高のデンソー<6902>も3900億円で6位入賞。それに次ぐのが電機大手で、ソニー<6758>は4位で4850億円、13円高のパナソニック<6752>は5位で4800億円、3.3円高の東芝<6502>は7位で3700億円、8.1円高の日立<6501>は8位で3550億円だった。9位で3500億円の武田薬品<4502>は20円安、10位で3100億円のキヤノン<7751>は1円高だった。

 シャープ<6753>は今期中に大阪・八尾市の白物家電工場の土地、藤井寺市など2カ所の物流拠点を売却し100億円程度の売却収入を見込むと報じられ財務改善期待で2円高。八尾工場の生産は継続。カーナビのクラリオン<6796>は富士重工<7270>の北米向け車種にクラウドサービスが採用される話題で売買高、売買代金とも4位で39円高と急上昇。年初来高値を更新し値上がり率4位に入った。真空技術のアルバック<6728>はストップ安の500円安で値下がり率1位。6月期決算の営業利益は96%増だったが、通期営業利益見通しが90億円で25%の2ケタ減益。市場予測の150億円を大幅に下回るネガティブサプライズだった。

 北陸電力<9505>は前日、志賀原発2号機の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請したが20円安。申請済みは10電力13原発20基になった。総務省はスマホの料金を抑えるため、2016年サービス開始予定の第4世代携帯(4G)から各社に通信量に応じた低額の定額プランも設けるよう義務づけると報じられた。NTTドコモ<9437>は0.5円安、KDDI<9433>は6円高、ソフトバンクは165円高。現状は3社とも「LTEは7GBまで5200円(税別)」で揃っている。