松阪市長の集団的自衛権反対団体が初集会 地方の声、国政への影響は

2014年08月13日 13:23

画像・松阪市長の集団的自衛権反対団体が初集会 地方の声、国政への影響は★

8月1日、集団的自衛権の行使を認めた安倍政権の閣議決定に反対して三重県松坂市の山中光茂市長が立ち上げた市民団体「ピースウイング」の設立集会が、同市の松阪商工会議所で行われた。松阪市長は地方議員や市民に参加を呼びかけ原告団を組織すると改めて表明した。

 8月1日、集団的自衛権の行使を認めた安倍政権の閣議決定に反対して三重県松坂市の山中光茂市長が立ち上げた市民団体「ピースウイング」の設立集会が、同市の松阪商工会議所で行われた。集会で松阪市長は今後、地方議員や市民に参加を呼びかけ原告団を組織すると改めて表明した。地方の一首長の立場から安倍政権の決定に違憲訴訟を起こすことを明言し全国から注目を集めた山中市長、市民集会が初めて行われたことで、違憲訴訟は現実味を帯びてきた。

 先月17日に設立されたばかりの「ピースウイング」だが、松坂市長に賛同する動きはすでに全国的な広がりを見せており、主催者によると訴訟に協力する意向を示している首長は県内外の約30人、地方議員は約60人いるという。お膝元の松阪市でも山中市長と連携する「ピースウイング議員の会」がつくられ、活動を始めている。ピースウイングに対して支持が集まる背景には、集団的自衛権行使を容認した安倍政権の決定に対する強い不信感にある。
 
 共同通信社が8月2日、3日に実施した全国電話世論調査によると、閣議決定について84.1%が「十分に説明しているとは思わない」と回答した。集団的自衛権の行使容認そのものへの反対は60.2%で、賛成は31.3%に留まった。反対は前回7月の調査から5.8ポイント増えており、反対の声はさらに広がりつつある。

 この根強い反対論を受けて地方議会でも安倍政権を批判する意見書の可決が次々と行われている。自民党系議員が多い議会でも意見書が可決されている例もあり、これからも可決は拡大していきそうだ。例えば自民党系議員が最大会派である岩手県議会では最大会派の「自由民主クラブ」が反対したにもかかわらず集団的自衛権の行使容認に反対する意見書3件が可決されている。

 地方議会が可決した意見書に強制力はない。どれだけ多くの自治体が意見書を可決しても政府には何の義務も生まれないのが現状だ。当面国政選挙もない中、今回ピースウイングが違憲訴訟を目指しているのは現状ではそれが行使阻止の唯一の方法だと考えたからだ。集団的自衛権の是非はともかく、反対の声が多い以上議論が必要なのは紛れもない事実だ。地域主権が進んでいる今だからこそ、地方の声をより直接国政に反映させる仕組みが必要なのではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)