【日経平均】経済指標がネガティブでも100円高4日続伸

2014年08月14日 20:16

 13日のNYダウは91ドル高。NASDAQは44ポイント上昇した。ウクライナはロシアの人道支援物資の受け取りを謝絶したが地政学的リスクはこの日も小康状態で、それが買い戻しを誘った。小売売上高が横ばいで微増の市場予測を下回り、34丁目のメーシーズは5~7月期の利益が市場予測を下回り既存店売上高の通期見通しを下方修正したが、それも「早期利上げ観測後退」と解釈されて悪材料が好材料に化ける。『マクベス』で3人の魔女が言う「いいは悪い、悪いはいい(Fair is foul, and foul is fair)」状態。当のメーシーズは5.5%下落し、JCペニー1.1%下落、ギャップ0.6%下落、ウォルマート0.2%下落など小売株が安かった。14日朝方の為替レートはドル円が102円台前半、ユーロ円が136円台後半で前日とほぼ同じ水準。

 CME先物清算値は15305円。4~6月期のGDP速報値が出たばかりだが日経新聞朝刊に7~9月期GDPの民間予想が掲載され、12社平均+4%強だった。ただし予想値は+3%台から+7%台までバラついていた。取引時間前に内閣府から6月の機械受注が発表され、+8.8%で3ヵ月ぶりのプラスでも市場予測の+16.2%を大きく下回り、5月がマイナスで悪かっただけにネガティブな印象。政府の判断は「一進一退で推移」。7~9月の見通しも前年同期比2.9%増で弱気だった。

 経済指標が悪くても日経平均は70.75円高の15284.38円でスタート。TOPIXもプラス。午前9時6分には15300円台に乗せる。9時9分に15319円まで上昇した後は折り返して15280~15290円台で推移する。前日終値時点で15326円の25日移動平均線が上値のレジスタンスラインになっていた。10時台には15300円台に乗せ、為替のドル円が102円台後半、ユーロ円が137円台へ円安が進行すると日経平均は10時29分に15330円まで上がり25日線を一時上回ったが、上海、香港市場が序盤マイナスだったこともあり再び15300円より下に押し戻される。それでも前引けは15304円だった。

 後場は15300円台で再開し、再び25日線突破にアタック。午後0時44分に成功して15338円まで上がるが、押し戻され15320円前後の水準で安定的に推移する。2時台は15320円のラインを維持しながら上値に2回アタックしたが、そのたびに25日線に阻まれた。突破するには手がかり材料難なのだろうか。大引け前には下押しされるが終値は100.94円高の15314.57円で今週4日続伸した。日中値幅は66円にとどまる。TOPIXは+8.37の1270.50。売買高は18億株、売買代金は1兆5702億円と低調だった。

 値上がり銘柄は1246で全体の68%を占め、値下がり銘柄は444。28業種がプラスで5業種がマイナス。値上がり業種の上位はパルプ・紙、空運、建設、海運、情報・通信、鉱業など。下位は石油・石炭、輸送用機器など。値下がり業種は不動産、その他金融、水産・農林、非鉄金属、繊維だった。

 日経平均採用225種は値上がり168銘柄、値下がり41銘柄。プラス寄与度1位はアリババのNY上場日確定でアメリカのヤフーの株価が上昇した効果も出ていたソフトバンク<9984>で+9円、2位はファナック<6954>で+6円。マイナス寄与度1位はホンダ<7267>、2位は三井不動産<8801>でともに-1円台だった。

 メガバンクはみずほ<8411>0.7円高、三菱UFJ<8306>1.1円高、三井住友FG<8316>31円高。投資信託協会が前日発表した7月の投資信託概況は7ヵ月連続の流入超で、株式投信の純資産総額は70兆円で6年9カ月ぶりに過去最高になった。NISA効果もあり純資産総額は昨年末から約5.1兆円増加している。傘下に投信運用会社を持つ証券大手の野村HD<8604>は2.2円高、大和証券G<8601>は5.8円高だった。

 ノンバンクのオリックス<8591>は再生可能エネルギーの発電所の新設に今後5年間で約3000億円を投資すると報じられ4.5円高。発電能力を現在の約12倍の100万キロワットに拡大し国内最大級の再生エネルギー発電事業者になる見通し。7日に「JPX日経400」銘柄に新規採用されたアイフル<8515>は前日に決算を発表し、通期見通しの営業利益が45%減、純利益が59%減と悪く83円安。売買高、売買代金、値下がり率1位の「負の三冠王」を獲得していた。アコム<8572>は13円安で値下がり率16位、アプラスF<8589>は4円安と連れ安していた。

 自動車大手はトヨタ<7203>は10円高。ホンダはヨーロッパで売れずシェアが1%を切りそうだというニュースが伝わり21.5円安。富士重工<7270>は30円高、マツダ<7261>は18円高。ソニー<6758>は売買代金10位に入り19.5円高で5日続伸し上昇気流に乗っている。日立<6501>は3.5円高、シャープ<6753>は4円高だった。クラリオン<6796>は売買高、売買代金とも7位だったが8円安と売られた。

 値上がり率3位に72円高の星光PMC<4963>、7位に28円高の第一工業製薬<4461>と「セルロースナノファイバー関連」が久々にランクイン。経産省がその加工性を高める新技術の実証事業に乗り出すと報じられた。日医工<4541>は抗がん剤の後発薬の専用研究開発施設を富山県滑川市に建設すると報じられ2円高。創薬ベンチャーのそーせいG<4565>は新日本科学<2395>とのエピネフリン経鼻剤の基盤技術に関する事業提携で基本合意と報じられた。そーせいGは4~6月期決算が最終赤字でも〃鼻薬が効いて〃175円高、新日本科学は45円高で値上がり率16位だった。

 イオン<8267>は10月までに訪日外国人の消費税を免除する総合スーパーを現在の2倍の100店に増やすと報じられ3.5円高。最近では人気銘柄の食品スーパーは、ヤオコー<8279>が110円高、マルエツ<8178>が3円高、平和堂<8276>が14円高、北海道のアークス<9948>が27円高で、いずれも年初来高値を更新していた。

 MSCIが「スタンダード・インデックス」標準指数への西武HD<9024>の新規組み入れを発表。しかし後場売り込まれ11円安。海運セクターは前日同様、日本郵船<9101>が売買高19位で2円高、商船三井<9104>が売買高14位で6円高、川崎汽船<9107>が売買高12位で3円高と売買を伴って買われ業種別騰落率4位。オリエンタルランド<4661>は前日、東京ディズニーランド&シーの夜間入場料を9月から500円値上げすると発表し収入増を見込まれ495円高で3日続伸し上場来高値更新。夜のイベントが充実したことが背景にある。