各業界で、4月に実施された消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減の収束がみられるなか、鋼鉄業にもその傾向が現れ始めている。20日に日本鉄鋼連盟(鉄連)が発表した7月の粗鋼生産量によれば、それは前年同月比0.02%ダウンの929万5300トンであったことがわかった。前年を下回るのはこれで4ヶ月連続となるものの、駆け込み需要に伴う反動減には収束傾向がみられ、自動車向けなどの製造業向けが堅調に推移し、建材でも主要品目がプラスとなった。
4~6月については、消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減の影響を受け粗鋼生産量も落ち込んでいたが、7月に入って回復傾向がみられ始めて来た。経済産業省鉄鋼課の見通しによれば、7~9月の粗鋼生産量は前年同期比0.9%アップとの見通しが立てられており、日本鉄鋼連盟も7月が微減となったのに続き、8月、9月には生産量も増加すると見込んでいる。
鋼材別に見てみると、建築・土木で使用される大型形鋼が前年同月比1.2%ダウン、中小形形鋼が前年同月比12.1%ダウン、また大型棒鋼も前年同月比3.9%ダウンとマイナスが目立つ結果となり、厚板も前年同月比6.5%ダウンとなった。しかし自動車や家電向けの広幅帯鋼は前年同月比3.8%アップと増加した。広幅帯鋼が増加に転じるのは5ヶ月ぶりのこととなる。また建築向けのH形鋼も前年同月比0.2%アップ、小形棒鋼も前年同月比1.9%アップとなり、それぞれ4ヶ月ぶりにプラスへと転じた。そして亜鉛めっき鋼板もわずかながらではあるものの、増加となった。
前月比で見てみると、7月の粗鋼生産量は1.7%アップという結果であった。このことからも、駆け込み需要に伴う反動減の影響からの脱却が伺える。しかし日本鉄鋼連盟はまだまだ状況は予断を許さぬとし、今後も動向を注視する必要があるとしている。
依然として予断を許さぬ状況であるとはいえ、業界内に明るい兆しがみられ始めたことは確かだ。このまま好調に推移し続け、反動減からの完全脱却をはたす可能性も十分あるだろう。(編集担当:滝川幸平)