神戸製鋼、日米欧に続き、グローバル展開を視野に自動車用鋼板工場を中国に設立

2013年10月27日 12:23

 神戸製鋼<5406>は中国での自動車用冷延ハイテン(高張力鋼板)の製造・販売を目的とする合弁会社「鞍鋼神鋼冷延高張力自動車鋼板有限公司」を設立する。

 中国の鞍山鋼鉄の子会社である鞍鋼との合弁で鞍鋼が51%、神戸製鋼が49%出資するもの。資本金は7億元(約116億円)。鞍鋼の鞍山製鉄所内に、約17.5億元(約289億円)を投じて生産能力年間60万トンのCAL(連続焼鈍設備)を建設する。2016年初頭の稼動を目指すとしている。フル稼働時の従業員は100名程度を見込んでいる。

 中国は世界最大の自動車市場であり、その生産台数は今後10年間で5割程度増加すると見込まれている。また、政府主導で安全・環境対応への取り組みも強化されている。そのため、鋼板の剛性を高めて安全性を維持しながら、車体を軽量化して燃費の向上を図るという目的から、ハイテン需要は今後益々拡大していくものと想定されている。

 このようなニーズに対応して、新会社は、神戸製鋼の自動車用冷延ハイテンに関する世界トップレベルの技術と鞍鋼の中国での強固な事業基盤を融合させ、中国での自動車用冷延ハイテン需要を捕捉していく。

 神戸製鋼は、鉄鋼分野において北米では、USスチールとの合弁拠点であるプロテック・コーティングにて既存の溶融亜鉛めっき(CGL)2ラインに加え、CALが13年5月に稼動を開始している。

 また欧州においては、フェストアルピーネグループと自動車用鋼板の技術提携を行っている。今回中国で自動車用冷延ハイテンの生産拠点を有することで、日・米・欧・中での「薄板ハイテンのグローバル展開」を進めることが可能となるとしている。

 神戸製鋼は、グループ中長期経営ビジョンで、「オンリーワン技術・製品でグローバルに成長市場を取り込むこと」を、基本方針にしている。自動車用冷延ハイテンは、神戸製鋼の得意分野でユーザーから高い評価を得ており、今回の新会社の設立は、この方針に沿ったものであるとしている。合わせて、自動車メーカーが要望するグローバル供給体制構築への対応という観点からも、ハイテン供給力のプレゼンス向上に繋がる、と同社は考えている。(編集担当:久保田雄城)