1979年に貿易統計が開始されて以来、過去最長の貿易赤字となったことがわかった。20日、財務省が7月の貿易統計(速報、通関ベース)を発表。それによれば、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は9640億円の赤字であった。こうして貿易赤字となるのは25ヶ月連続のことで、過去最長を更新することとなった。
欧州連合(EU)向けの自動車輸出の伸長により、輸出は前年同月比3.9%アップの6兆1886億円と3ヶ月ぶりにプラスとなったものの、火力発電用燃料の輸入が増えたため、輸入も前年同月比2.3%アップの7兆1526億円と2ヶ月連続で増加となり、結果、輸出のプラス分を相殺する形となり、25ヶ月連続の貿易赤字となった。しかしその赤字額は9640億円であり、前年同月の赤字1兆325億円からは縮小した。
品目別に見てみると、輸出は、自動車が前年同月比8.1%アップ、金属加工機械が前年同月比35.7%アップ、科学光学機が前年同月比9.8%アップと多くの品目でプラスとなった。しかし船舶は前年同月比27.6%ダウンという結果であった。輸入は、原粗油が前年同月比6.9%アップ、液化天然ガスが前年同月比7.4%アップ、石油製品が23.3%アップという結果であった。
地域別に見てみると、アメリカ向けの輸出が前年同月比2.1%アップと3ヶ月ぶりにプラスとなり、中国向けの輸出も前年同月比2.6%アップと、これで16ヶ月連続でのプラスとなった。そしてEU向けの輸出も前年同月比10.2%アップという結果であり、これで14ヶ月連続でのプラスとなった。
さらには、地域別の貿易収支を見てみると、アメリカとの貿易収支は前年同月比3.0%ダウンし4837億円の黒字であり、6ヶ月連続でマイナスとなった。自動車の落ち込みが影響したものとみられる。しかし中国との貿易収支は3216億円の赤字であり、またEUとの貿易収支も原動機や肉類の輸入が増加したため495億円の赤字であった。
しかし自動車を中心としたアジア地域への輸出には回復傾向がみられ、中国向けの輸出が前年同月比2.6%アップであった以外にも、台湾向けが前年同月比11.7%アップ、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けが前年同月比3.7%アップであり、ASEANがプラスに転じるのは5ヶ月ぶりのこと。このアジア地域への輸出の回復次第では、輸出全体も底上げされるのではないかとの見方がなされている。(編集担当:滝川幸平)