日常生活には欠かせない、自動販売機。日本自動販売機工業会のデータによれば、日本には13年現在509万台の自販機があり、うち半数がジュースなどの飲料関連だ。年間販売額は5兆2138億円におよび、日本のGDP統計の2%は自動販売機によるものだそうだ(ニッセイ基礎研究所「23歳からの経済学」2011年1月4日)。
どこへ行っても目にする自販機だが、台数は10年前の約9割まで減少している。タスポの導入でたばこ自販機が大きく減少し、コンビニに顧客が流れていることや、コンビニ飲料との競争が激化しているためだ。矢野経済研究所によると、国内自販機の数が今後大きく増えることはなく、少しずつ減少すると見られている。
自販機が少なくなっている要因は、他にもある。長引く不況で、職場の自販機の売り上げが落ちているのだ。製造業では工場の稼働時間が短縮され、幅広い業界で人員削減が行われた。その結果、オフィスに設置された飲料自販機の販売が大幅に減少。最近は景気も回復基調にあるものの、消費者の節約志向はまだまだ強い。自販機で高い飲み物を買うより、持参した水筒にお茶やコーヒーなどを入れて飲むのが定着している。外で買うにしても、定価販売の自販機ではなく、スーパーの特売品やコンビニで購入する人が増えているのだ。
コンビニ各社は安いプライベートブランドの飲料を充実させており、自販機には割高感が出ている。設置場所も、すでに飽和状態だ。酒類やたばこ自販機などが撤去されたスペースの中でも、売れ行きが良さそうなロケーションは奪い合いが続く。飲料メーカー各社は設置場所の「量」を重視しつつ、「質」も求める傾向が強まっている。代表的なものは、省エネ自販機だ。原発事故による電力不足が広がった2011年以降、各社は省エネ対応型の普及を今まで以上に進めている。このように技術は進化しているものの、売上高・設置台数ともに、じりじりと減少しているのが現状である。(編集担当:北条かや)