近ごろ、コンビニエンスストアのカウンターに、セルフ式のドリップコーヒーのマシンを見かけることが多くなった。セブンイレブン<3382>でも、今年1月から全国の約1万2500店舗でマシンを導入し「SEVEN CAFE」を展開しているが、半年間でおよそ1億杯の販売を突破するほどの人気振りをみせているという。
コンビニカフェだけでなく、飲料関連で最も注目度が高いのがコーヒー市場だ。全日本コーヒー協会が隔年で実施している市場調査によると、一人当りの1週間の飲用状況は、2012年で10.73杯。前回調査結果の10.93杯と比べると、全体ではやや減少傾向にはあるものの、缶コーヒーに限っては微量ながら増加傾向にあるという。
缶コーヒーの最需要期は冬場だが、本格的なシーズン到来に向けて、メーカー各社からはそろそろ今年の新商品やリニューアル商品が発表される時期だ。例年9月初旬頃には、それらの商品が店頭や自動販売機に陳列されていく。
例えば、ダイドードリンコ<2590>は今年、1992年の発売以来 ロイヤルユーザーに支えられているデミタスコーヒーをリニューアルする。これは、「ダイドーブレンド」ブランドの美味しさをより多くの消費者に知ってもらうため、デミタスコーヒーを「ダイドー ブレンド」におけるプレミアムシリーズとして再定義し、8月19日(月)より“ご褒美缶コーヒー”というコンセプトのもと、リニューアルする。
「ダイドーブレンド デミダスコーヒー」は、独自性のある贅沢な味わいで人気のシリーズとなっている。嗜好性が高いコーヒー飲料の中でも「週1本以上は買う」という常連が多いことでも知られる商品。ところが、「一度も飲んだことがない」という人が多い商品でもある。同社の定番商品であるにもかかわらず、飲用経験率は27%にとどまっているのだ。
裏を返せば、それだけ根強い固定客を持つ力のある商品といえる。ダイドードリンコでは、一度飲んでもらえればロイヤルユーザーとなってもらえる潜在的なニーズを秘めたプレミアム商品として再アピールし、さらに発売時期に合わせて『モンスタートラック プルバックカー コレクション』(全10種類)が必ず一個ついてくるオンキャップキャンペーンをコンビニエンスストア限定で展開することで、販売本数のアップと潜在顧客の掘り起こしを狙う。
また、アサヒ飲料<2598>は、ワンダシリーズ「きれいな微糖」をリニューアルして販売する。「きれいな微糖」は、コーヒーの淹れはじめのドリップだけを使用する一番ドリップ製法によって引き出された、雑味のない澄みきった味わいが特長の微糖缶コーヒー。昨年12月に発売され、20代、30代を中心に好評を得た商品だ。さらに、7月に上場したばかりのサントリー食品インターナショナル<2587>からは、ボスシリーズ「夜明けのボス」がリニューアルして販売される。
近年、健康意識の高まりもあり、缶コーヒー市場では微糖や無糖のものがシェアを伸ばしてきた。しかし、ただ糖分が控えめだからといって顧客が満足する時代ではない。缶コーヒーにも、コクとキレ、そして芳醇な香りが求められる昨今、各メーカーも商品開発には余念がない。各メーカーの今シーズンの自信作、飲み比べて好みの味を探してみるのも面白いだろう。(編集担当:藤原伊織)