経済産業省が2015年度予算の概算要求に石油元売り各社の国内23カ所の製油所の統廃合の資金支援を盛り込むと報じられた。災害対策を条件に再編費用の半額を上限に補助する方向で、再編による合理化でガソリンなど石油製品の安定供給につなげるのが狙い。元売り各社は、JXHD<5020>はJX日鉱日石エネルギーがスマホ用や医療用の機能化学品の製品数を3倍程度に増やし売上高を倍増させるニュースがあり2.4円高、出光興産<5019>は9円安、昭和シェル石油<5002>は5円安、コスモ石油<5007>は1円高とまちまち。石油精製に特化した東燃ゼネラル石油<5012>は1円安でも、富士石油<5017>は「台風の目」視されたのか9円高で年初来高値更新と。業種別騰落率で石油・石炭セクターはプラスで第4位だった。
医薬品セクターは業種別騰落率トップ。大塚HD<4578>傘下の大塚製薬はブラジルに本社を置き南米で高いシェアを持つ健康・機能性食品最大手ジャスミンをフランスの子会社を通じて買収すると発表。売買代金15位に入り60円高で年初来高値更新。武田薬品<4502>はロジェCFOが「2016年から3年間平均で年2割の成長が可能」「2018年3月期にコア利益5000億円を目指す」と強気の見通しを示したが1.5円安。蚊が媒介する熱帯病デング熱の感染者が埼玉県と東京都で新たに2人確認され、東証2部の殺虫剤のフマキラー<4998>は後場ストップ高になり80円高で年初来高値更新。アース製薬<4985>も320円高で年初来高値を更新し値上がり率10位と連れ高。しかしマラリア、デング熱対策の殺虫効果付き蚊帳の住友化学<4005>は2円安で反応はなかった。
衣料・雑貨のネット通販「スーパーデリバリー」を運営するラクーン<3031>は5~7月期(第1四半期)で2ケタ増益を達成し13円高。同じく通販のフェリシモ<3396>も91円高で値上がり率13位。ゲオHD<2681>は340万株、30億円上限の自社株買いを発表して36円高だった。
JAL<9201>が三菱重工<7011>傘下の三菱航空機が開発中の小型旅客機「MRJ」を32機導入すると報じられた。2021年に国内の地方路線に就航させるJALは40円高、いい引き合いがあっても三菱重工は4.8円安。
この日も売買が小型株、東証2部、新興市場に偏り、全市場トータルの売買高の3位と5位に東証2部、売買代金の1位に東証2部、3位にマザーズの銘柄が入った。東証2部では電子部品のアオイ電子<6832>が中間期と通期の業績見通しを上方修正し、中間配当予想を7円引き上げ年間配当33円の見込みで40円高で年初来高値更新。医療機器販売会社のディーブイエックス<3079>は9月3日の東証1部への指定替え承認を発表し100円高。ジャスダックから移り9ヵ月で卒業する。東証2部指数は日経平均の軟調を尻目に0.32%上昇し、これで12連騰。
新興市場は日経ジャスダック平均が0.14%上昇したが東証マザーズ指数は2.41%の大幅下落。ミクシィ<2121>は410円安、サイバーダイン<7779>は災害対応向けロボット技術開発が福島県の災害対応ロボット産業集積支援事業の補助対象事業として採択された材料があったが大引け前に売られ30円安。菊池製作所<3444>は30円高、ロボット関連でも建設関連でもある東証1部の川田テクノロジー<3443>は140円高だった。
この日の主役は生化学工業<4548>。三菱UFJ証券が新規に「アウトパフォーム」「目標株価4000円」というかなり高めの投資判断を出し、ストップ高比例配分の300円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。期待されたのは「椎間板ヘルニア」治療の新薬開発で、手術を受けた患者数はアメリカは10万人中45~90人、英国は10人だが、日本は740人というデータがある。全く自慢にならないが日本は世界一の「ぎっくり腰大国」で、約94万人が手術して市場は非常に大きい。エボラ出血熱の話題で富士フイルムHD<4901>がもてはやされるが、死ぬ人などいないようなありふれた病気ほど、その治療薬、治療法はあなどれない市場規模を持つ。(編集担当:寺尾淳)