【日経平均】円安進行で突然、炎のごとく上昇し192円高

2014年09月02日 20:17

 電動工具のマキタ<6586>はタイで草刈機など東南アジア向けの園芸機器の生産を開始すると報じられ210円高。3月に沼津工場を閉鎖して集約した。円安になっても製造業の空洞化は止まるどころか国内の人手不足、人件費高騰でますます進行する懸念がある。一方でファナック<6954>は「おもちゃのまち」で知られながら玩具工場が空洞化した栃木県壬生町の産業団地に生産拠点を設けると報じられ300円高。そんな企業もある。太陽光発電のウエストHD<1407>は9月に全額出資でウエスト電力を設立して新電力事業者として経済産業省に登録し、さらに地域ごとに出資を募り6社の新電力会社を設立して電力販売に乗り出すと報じられ53円高。再生可能エネルギーの地産地消を目指し、料金は大手電力会社より5%安くするという。

 この日はテーマ物色は退潮したが、ストップ高の150円高で値上がり率2位の古河電池<6937>と、同3位の水素関連の三菱化工機<6331>は例外。三菱化工機は信用規制の解除を好感され一時ストップ高の66円高で年初来高値を更新し、売買高6位、売買代金5位と買われた。同テーマの岩谷産業<8088>は13円高で年初来高値を更新し売買高14位、売買代金9位に入っていた。前日まで大にぎわいだった建設セクターは業種別騰落率31位と抑え込まれ、中堅建設株は熊谷組<1861>も鉄建<1815>も不動テトラ<1813>も下落。上昇は三井住友建設<1821>、飛島建設<1805>ぐらいだった。

 ピジョン<7956>は前日に2~7月中間期決算を発表。売上高は好調な中国事業を中心に7%増、純利益は31%増。1月期通期見通しは据え置きでも40円高で年初来高値更新。住友化学<4005>は農業生産者に委託してコメの生産・販売に参入するニュースがあり6円高。ダイセル<4202>はみずほ証券が目標株価を引き上げて8円高で年初来高値を更新していた。

 富士フイルム<4901>はナイジェリア政府がエボラ出血熱患者への「ファビピラビル」投与を検討と報じられ47.5円高。しかし円安のあおりを受けてディフェンシブセクターの代表格の医薬品大手は軒並み安になり、中外製薬は95円安、アステラス製薬は11.5円安、大日本住友製薬<4506>は19円安、エーザイ<4523>は13.5円安。医薬品セクターは業種別騰落率最下位に甘んじた。

 伊藤園<2593>は5~10月中間期の連結業績見通しを下方修正して90円安で値下がり率15位。ダイドードリンコ<2590>の2~7月中間期決算は売上高2%減、営業利益は10%減、純利益31%減だったが、期初の予想を上回って55円高だった。

 三菱商事<8058>、三菱重工<7011>は低燃費の国産初のジェット旅客機「MRJ」で国内線地方路線や地方空港発着の近距離アジア路線を運航する新会社の設立で連携すると報じられ、三菱商事は18.5円高、三菱重工は10.3円高。内田洋行<8057>は前日、7月期の業績見通しを売上高微減、営業利益4%減、純利益14%減と発表し39円安で値下がり率2位だった。

 百貨店各社の8月の売上速報(全店ベース)は、38円高の三越伊勢丹HD<3099>の首都圏9店舗は前年同月比1.6%増。67円高のセブン&アイHD<3382>のそごう・西武24店舗は2.6%増で5カ月ぶりのプラス。47円高のJフロントリテイリング<3086>の大丸松坂屋は0.3%増でプラス転換。25円高の高島屋<8233>も0.1%増でプラス転換。53円高のH2Oリテイリング<8242>の阪急阪神百貨店は2.2%増で2カ月連続のプラスだった。天候不順で7月は夏物衣料が不振だったが、8月は秋冬物が早くから動き高額商品も売れて増収になったという。

 インテリア・雑貨店チェーンのパスポート <7577>は8月中間期、2月期通期の業績見通しを下方修正し、期末一括配当予想を10円から5円に引き下げて5円安。ディスカウンターのPLANT<7646>は9月期の期末配当予想を16円50銭から18円に上方修正して14円高。肉の小売とステーキレストランのオーエムツーネットワーク<7614>は外食事業が好調で2~7月期の業績が計画を上回り、1月期通期営業利益見通しを1.5億円上方修正して一時ストップ高の90円高で年初来高値を更新していた。

 JAL<9201>は海外26地域で提供する外国人客向けホームページに、日本滞在中の各種サービスを予約できる機能を搭載する第1弾として、パーク24<4666>の子会社と提携したレンタカー予約サービスを開始し10円高。パーク24は17円安。エイチ・アイ・エス<9603>とANAHD<9202>傘下の旅行会社ANAセールスは前日、訪日外国人向け旅行事業での提携を発表したがエイチ・アイ・エスは4円安、ANAHDは1.1円高。明光ネットワークジャパン<4668>は、関東地方で「明光義塾」87教室をFC展開するMAXISHDを2日付で18億円で買収すると発表し4円安だった。

 楽天<4755>は、傘下の楽天銀行が太陽光発電所の運用などを手がけるトランスバリュー信託を買収すると報じられ30円高。信託業務のノウハウで金融機能を強化する。テーマ株が主力株におされた地合いを反映してゲーム関連は続落銘柄が多く、Klab<3656>は122円安で値下がり率5位。セガサミーHD<6460>が68円安で大幅続落し値下がり率13位になったのは、パチスロ機の規制強化の話が出たためだった。(編集担当:寺尾淳)