7月21日、東京株式市場で日経平均株価は9日連続で続伸し、2013年12月17─30日の連騰記録に並んだ。急ピッチの上昇に対する警戒感から目先一服の可能性が指摘されているものの、日本株に対する先高感は根強いという。
7月21日、東京株式市場で日経平均株価は9日連続で続伸し、2013年12月17─30日の連騰記録に並んだ。急ピッチの上昇に対する警戒感から目先一服の可能性が指摘されているものの、日本株に対する先高感は根強いという。一方、米国株はここ数年、「5月に売れ」と言う格言に悩まされ続けた。昨年までの4年を平均すると、ダウ工業株30種平均は、4月末の高値から8月20日ごろの底入れまで5%下げている。だが今年は違う。ダウ平均は春先から逆に上昇。一時調整もしたが、年初来高値に近い水準だ。今週までの「売りの季節」を終えれば「格言ははずれた」と宣言できる。米国株の影響をもろに受ける日本株にとっても朗報だ。
世界のマネーがリスクをとった投資に乗り出すなか、市場では著名投資家ジョージ・ソロス氏の動きが話題になっている。ソロス氏率いる「ソロス・ファンド・マネジメント」が米証券取引委員会(SEC)に提出した運用報告資料が臆測を呼んでいる。「ソロスは下げ相場を予想している。」そう取れる内容だ。ソロスファンドは、内容を開示する3カ月ごとに関心を集めてきた。昨年6月には金価格の上昇が一服する中で金連動のETFをすべて売却したことが判明。同時期にS&P500のプットを大幅に増やした際は、買い増した米アップル株の下落リスク回避との見方もあった。
同ファンドは6月末時点でS&P500種株価指数に連動する上場投資信託(ETF)のプットオプション(売る権利)を大幅に増やした。プットは相場が下がれば利益が出る。この評価額は約22億ドル(約2250億円)。運用額全体の17%、最大の保有銘柄だ。
一般的にはなじみの薄いオプション取引だが、現在の状況でソロス氏が大量にプットオプションを購入するのは極めて合理的だ。オプション取引は権利の売買だ。不利になる場合は権利を放棄すれば良いだけだ。つまり、オプションの買い手は損失を限定できるというメリットがある。オプションの価格は株価の変動率に連動する。歴史的な低さになった米国株の変動率に応じて、プット価格も低下している。ソロス氏の行動はまさに「掛け捨ての保険に入る」ようなものだ。
相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中に育つ。楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えてゆく。現在の相場の中で多くの投資家は幸福感を味わっている。永遠の幸福は無い。ジョージ・ソロス、偉大な老練投資家は何を予想しているのだろう。(編集担当:久保田雄城)