レイバー・デーの3連休前の前週末8月29日のNYダウは18ドル高、NASDAQ総合指数は22ポイント上昇した。シカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数が市場予測を上回って高く始まったが、英国政府がテロ警戒レベルを引き上げたニュースで下落。反発後は閑散とする中、前日終値付近でウロウロして終えた。アップルが9日に新製品発表会を行うと発表し、NXPセミコンダクターズが新型iPhoneに短距離無線通信用半導体が採用される話で2.3%上昇。グーグルが宅配無人機輸送システムを公開し0.4%上昇、先行したアマゾンは0.3%下落。ツイッターが0.6%、フェイスブックが1.3%上昇するなどネット系銘柄は買われた。9月1日朝方の為替レートはドル円が104円台前半、ユーロ円が136円台後半で、ドル円はアメリカの長期金利の上昇を背景に前週末からドル高円安に振れた。
29日のCME先物清算値は15445円。取引時間前に発表された4~6月期の法人企業統計は、設備投資が1~3月期の+7.4%から減速し+3.0%の伸び、経常利益が1~3月期の+20.2%から大幅減速して+4.5%の伸び。だが売上高ともどもプラスは維持した。
GPIFの4~6月の運用状況が公表され、6月末は3月末に比べ国内株式の比率は15.9%から16.8%に0.9ポイント上昇、国内債券の比率は53.4%から51.9%に1.5ポイント下落。債券を売って株式を買う動きが明らかになった。繰越欠損金の税控除の縮小で法人税を2%引き下げる財政上のメドがついたことと合わせ、株価の支援材料になった。
日経平均は30.0円高の15454.59円で3日ぶりに反発して9月スタート。TOPIXも上昇し1280台を回復して始まる。ドル円の円安進行を好感し午前9時6分に15478円まで上昇しながら、9時18分には15440円まで下落。その後は15440~15460円の水準で10時の中国国家統計局(物流購入連合会)のPMIの発表を待つ。発表数字は市場予測より0.1ポイント低いだけの51.1で中国関連銘柄も反応薄。香港はマイナスだが上海はプラスで始まる。10時45分発表のHSBCのPMI改定値は速報値より0.1ポイント低い50.2だったが、サプライズのない安心感で上海は上昇を継続し日経平均も上昇。15460円を抜けて11時台には15470円近辺まで伸ばし、前引けは15468円だった。
後場はほぼ前引け水準で再開し、ドル円が104円台で安定するのを受けて15460円台でほとんど動かなくなる。午後1時30分すぎから値を切り上げるが、2時に8月の自動車販売台数が発表され登録車は5.0%減、軽自動車は15.1%減と落ち込むと元の水準に下がる。それでも15460円は割り込まない。2時台のうちに15470円近辺まで上がり、大引けではさらに上昇して52.01円高、15476.60円で3営業日ぶりに反発。日中値幅は37.78円で今年最少を記録した。TOPIXは後場上昇し2時47分に高値を取って+5.09の1283.06と順調。売買高は18億株で4日ぶりの20億円割れ。売買代金は1兆3308億円で4月18日以来、今年2番目の薄商いになった。
東証1部の値上がり銘柄は1187で全体の65%を占め、値下がり銘柄は517。33業種別騰落率は27業種が上昇、6業種が下落。プラスのセクター上位は建設、ガラス・土石、非鉄金属、不動産、鉄鋼、繊維など。マイナスのセクターは海運、情報・通信、食料品、小売、保険、サービスだった。
日経平均採用225種は値上がり157銘柄、値下がり56銘柄。プラス寄与度1位はアステラス製薬<4503>で+5円、2位は日東電工<6988>で+4円。マイナス寄与度1位はアリババのIPOスケジュールが延びて上場日は19日になりそうだとロイターが報じたソフトバンク<9984>で-7円、2位はホンダ<7267>で-3円だった。
関東、九州の地銀5行とみずほ銀行が、医療・介護分野に出資する「地域ヘルスケア産業支援ファンド」を共同で設立するニュースがあり、介護ロボット開発も投資対象。参加する横浜銀行<8332>は2.2円高、千葉銀行<8331>は6円高、常陽銀行<8333>は2円安、ふくおかFG<8354>は2円高、西日本シティ銀行<8327>は1円高、みずほFG<8411>は0.7円高だった。他のメガバンクは三菱UFJ<8306>は1.8円高、三井住友FG<8316>は18.5円高。証券セクターは野村HD<8604>は0.7円高。「夫婦共働き最大のリスク」といわれる配偶者の転勤に同行するグループ社員に9月から最長5年の休職を認める制度を導入する大和証券G<8601>は4.9円高だった。
8月の自動車登録台数が発表され、消費増税前の受注残が解消されて登録車は2ヵ月ぶりの減少。それでもメーカーによりバラツキがあり、登録台数12.0%減のトヨタ<7203>は28円高、57.0%の大幅増のホンダは41.5円安、21.0%減の日産<7201>は1円安、15.9%増の富士重工<7270>は4.5円高、15.4%減のマツダ<7261>は2円安、32.9%の大幅減の三菱自動車<7211>は1円高。国内販売は明暗の差が大きかった。
ソニー<6758>は25.5円高で、11連騰後に1日だけ下げた後に4連騰で株価2000円台を回復した。シャープ<6753>は値動きなし、日立<6501>は1円安。NEC<6701>は1円高。東芝<6502>は理論上破られないといわれる究極の暗号「量子暗号」通信の5年後の実用化にメドをつけたと報じられたが0.6円安。村田製作所<6981>は9日のアップルの新製品発表会への期待もあるようで191円高だった。
溶接機器のOBARA-G<6877>は東京東京がレーティングを3段階引き下げ260円安で値下がり率4位。住友重機械<6302>はみずほ証券がレーティングを引き上げ6円高で年初来高値更新。日立造船<7004>はみずほ証券が2016年3月期の大幅増益を見込み、レーティングと目標株価を引き上げ64円高で値上がり率6位だった。
KDDI<9433>は、子会社を通じ「au」と別の独自ブランドで格安スマホに参入すると報じられ軟調だったが終値は1円高。4月に格安スマホに進出したイオン<8267>は5日、初めてLTE搭載の新製品を発売したが7円安。端末は中国TCL製。東京電力<9501>が火力発電で中部電力<9502>と提携する見通しと報じられ2円高。中部電力は5.5円高だった。
テーマ株、低位株、小型株、東証2部、新興市場など非主流の「オルタナティブ銘柄」が幅をきかせ、前週と地続きのような地合い。テーマ株では水素関連の三菱化工機<6331>が9円高、電池関連の古河電池<6937>がストップ高比例配分の150円高で値上がり率2位。電線関連の昭和電線HD<5805>が6円高で売買高13位だった。