日本で売れるセダンはクラウンだけ。その牙城の一角崩しとなるか? 米国販売トップのセダン「カムリ」マイナーチェンジ

2014年09月16日 07:50

CAMRY HV

マイナーチェンジしたトヨタ・カムリHV“レザーパッケージ”車、本革内装の豪華仕様でも価格はリーズナブルで、402万6437円

 トヨタのミドルクラスFFセダンの「カムリ(CAMRY)」がマイナーチェンジを受けて9月20日から発売される。現行のトヨタ・カムリは日本国内では実質的にハイブリッド車(HV)専用車種として販売されてきた。それはマイナー後も同じでHV専用車種となる。

 カムリに限らず国産セダン市場は非常に縮小しており、日本自動車販売協会連合会(自販連)の統計によると、2013年1-6月期累計の販売台数ベスト30にランクインする純粋な国産セダンは、15位のトヨタ・クラウン(2万6964台)だけ。同統計8月単月を見ても、14位のクラウン(3330台)だけだ。8月統計の30位はトヨタ・エスティマ(1353台)で、同車以下のクルマの数字はないが、クラウンを除くセダンは、月間1000台以下の台数しか売れていないと思われる。例外は8月に第6位にランクインするカローラ(6651台)で、ステーションワゴンのフィールダーが推定6割ほどの販売で、セダンは3000台ほどの登録と思われる。

 マイナー以前の従来型カムリも日本では不人気車種だ。2013年はハイブリッド効果も手伝って年間1万1572台が登録。しかし、今年4月の消費増税後は月販500台程度に落ち込んでいた。ところが、2013年に米国で販売されたカムリは、年間40万8000台とされており、北米ベストセラー・セダンとして君臨しながら、日本では売れないという図式になっている。

 こうした傾向は何もカムリだけのことではなく、ハイブリッド車が昨年評判になったホンダ・アコード(米国販売2位/36万5000台)、独自のパワートレーンと駆動システムが人気のスバル・レガシィも北米でプレミアム人気だが、日本ではほとんど売れない。

 今回のマイナーチェンジで、カムリ国内モデルに新しいフロントマスクを与えられ、ヘッドランプ、フロントグリル、バンパー形状を変えた新しい顔付きに変わっている。

 また、もともとJC08モードで23.4km/リッターと2.5リッターハイブリッド車としては十分な燃費性能を持っていたが、今回のマイナーチェンジで追加された、「16インチアルミホイールオプション装着車」は25.4km/リッターと燃費性能を向上させた。

 さらに、ミリ波レーダーを使った衝突被害軽減ブレーキ(プリクラッシュブレーキ)とACC(先行車追従クルーズコントロール・50~100km/h対応)、車線逸脱を警告するレーンディパーチャーアラート(LDA)、夜間走行時にハイビームとロービームを自動で切り替えるオートマチックハイビームといった安全装備をセットオプション(12万2040円)として設定した。

 内外装をリファインし、足回りの最適化や防音材の追加などで、その走りと快適性が大きく向上しているという。価格は、ベーシックなハイブリッド320万7600円から本革仕様のレザーパッケージ車402万6437円まで。

 そのカムリの最大のライバルはトヨタ社内にあり、カムリの前にクラウン・ハイブリッドが立ち塞がる。月間5000台以上の販売を記録するクラウンの半数以上がハイブリッド車となっており、「それならばカムリだって」と、思うのは筆者だけではないと思うのだが……。と、いうか、現行カムリHVが登場したときから筆者は、「お勧めのHVセダン」として推してきた。

 カムリのボディ寸法は全長×全幅×全高4850×1825×1470mm。クラウンの4895×1800×1450mmと遜色ない。車重はカムリの1540kgから1550kg、クラウンはそれより重く1640kgから1680kgに達する。

 パワーユニットはほぼ同一の2.5リッターエンジンにモーターを組み合わせたリダクション機構付きのハイブリッドシステム。出力&トルクもほぼ同じで、大きな違いは駆動方式ということ。FFのカムリに対してFRのクラウンだ。両車とも標準のタイヤは17インチで同じで、17インチタイヤ装着車の燃費は、先に述べたようにカムリ23.4km/リッターに対して、クラウン23.2km/リッターと同等だ。

 カムリの美点は、クラウンHVよりも100~200万円安くて、合理的な米国人が納得するベストバランス・モデルだ、と思う。(編集担当:吉田恒)