全国の小学校6年生と中学校3年生を対象にした「平成26年度全国学力・学習状況調査(通称:全国学力テスト)の結果を文部科学省が8月25日に公表した。
この調査、国語、算数・数学の2教科で、小学6年及び中学3年の全児童生徒を対象として、悉皆調査というデータを余すことなく全て調べた方式で行われた。
この結果を受けて、静岡県では、川勝平太知事が35市町別の公立小学校の科目別平均正答率、小学六年の国語の正答率が全国平均を上回った校長名を公表した。
校長名を公表したことに対して、県の教育委員会、教育長、文部科学省、文部科学大臣など関係者からは疑義の声があがっている。この調査を進めるうえでの行政内部でのルールを示した実施要領では、数値だけを並べるような公表を禁じており、調査結果の情報の取り扱われ方としてはルール違反である。学校別と市町別の成績公表は、自治体の教育委員会の同意が必要であるが、その同意を知事は得ていない。
この騒動、昨年も起きている。昨年は、国語Aの平均正答率が全国最下位であったことも背景にあった。今回の公表の際に、川勝知事は「教育の責任は先生にある。その基本的な考え方を明確にする」「努力をたたえたい」という発言をしている。しかし、実際、ウェブサイトを見てみると自治体別のデータや校長の名前がPDFファイルで公開されているだけ。校長の名前については名前が羅列されているだけで、誰がどこの校長かわからない。自治体データも、自治体別に点数が並んでいるだけ。「昨年度から先生が努力され、先生の教育力が上がった」という知事の言葉を裏付ける基礎資料や分析資料はそこにはない。
大阪市、佐賀県武雄市など、学校別の平均正答率を公表する意向を持っている自治体は増えている。平均正答率を超えた学校名と取り組みをホームページで公表、結果を踏まえた学校別の改善策をホームページ上に掲載する自治体もあるようだ。今後、データを公開してどのような効果を狙うのか、ウェブサイト上に公表する方法も工夫してもらいたいものだ。(編集担当:久保田雄城)