子どもの貧困率改善には教育が必要なのに政府教育支出は国際平均以下 

2014年08月31日 20:08

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OECDによると、日本は教育に関する公的支援が加盟国の平均以下となる。2010年の政府の教育支出は国際平均が13%であるのに対し、日本は9%。子どもの貧困を断ち切るためには教育の公的支援拡大が欠かせない。

 子どもの貧困が深刻化している。満足に食事をとることもできず、病気になった場合に医療機関で診察を受けることもできないというケースもあり、健康を維持することが難しく、発達にも影響が出る可能性が指摘されている。貧困は親から子へと連鎖することも多く、貧困を断ち切るためには教育の在り方が問われる。貧困層の子どもは経済的にも進学を断念せざるをえず、将来就く仕事も選択の幅が狭められ、大人になってからも貧困から抜け出せないのだ。

 東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センターが2005年に実施した調査によると、年収400万円以下では4年制大学の進学率は31.4%であるのに対し、600万円以下43.9%、800万円以下49.4%、1,000万円以下54.8%、1,000万円以上では62.4%となり、親の収入によって子どもの教育の機会が左右されるという現状が明らかとなった。世帯所得と子どもの学力は相関関係にあり、親の収入が多いほど子どもの学力はあがり、反対に年収が下がるにつれ学力が下がる傾向にある。すべての子どもに平等に開けているはずの教育の機会が、現実では家庭の収入状況によるところとなり、不平等が起こっているのだ。

 諸外国に比べて、日本は子どもの教育に対する公的支援が低い状況にある。経済協力開発機構(OECD)によると、2010年の政府の教育支出は国際平均が13%であるのに対し、日本は平均以下の9%となっている。また、学校教育を受けるにあたっての私費負担の割合は、OECD平均16%であるのに対し日本は30%だ。OECD加盟34カ国のうち17カ国では大学授業料を無償化しており、給付制奨学金を導入しているのは32カ国にものぼる。日本では10年にようやく公立高等学校の授業料無償化が実現したが、大学の学費に関しては依然手つかずで、世界一高いとも言われている。

 国の教育支出が少ない日本では、教育費の負担が家計に重くのしかかる。このたび発表された12年の貧困率は16.3%で過去最悪を更新した。子どもの貧困問題は年々深刻化しており、今や6人に1人の割合だ。世帯収入によって子どもの教育に差が出るというという問題を解決するためには政府主導による抜本的対策が必要だろう。政府は子どもの貧困対策推進法に基づき、給付型の奨学金や学習支援などを実施することを検討しているが、財源確保の問題や実施枠に対する制限など課題は多い。(編集担当:久保田雄城)