文部科学省の調査によると2014年度に「土曜授業」を実施するとしている公立小学校は17%、中学校でも18%となっている。脱ゆとり教育へ方針転換後、土曜授業が復活しつつある。学力向上が認められる一方で、詰め込み教育への逆行を不安視する見方もある。
公立小中学校に土曜授業が復活するかもしれない。文部科学省の調査によると2014年度に「土曜授業」を実施するとしている公立小学校は全体の17%の3,565校、中学校でも18%で1,794校となっている。実施回数は年3回以下がもっとも多く小中とも約半数を占め、月1回程度とするのは約4割だ。かつて行われていた毎週実施にはまだまだ及ばないが、全体的な流れとしては土曜授業復活へと移行しつつあるようだ。
現在ほとんどの公立小中高学校で行われている学校週5日制は、1992年9月から月1回、95年4月からは月2回と段階的に実施が始まり、2002年から完全に実施されるようになった。土曜授業が廃止となった背景には、当時問題となっていた校内暴力やいじめの原因を詰め込み教育にあるとして批判が高まったことにある。それによって教育方針の転換が図られ、子どもの自主性を重んじ、家庭や地域を通しての社会的体験を積むことにより、生活能力や社会性が育まれるとして「ゆとり教育」が実施されるようになった。学習指導要領が改正され、学習量を減らし授業時間を削減。小1、2の社会と理科を廃止し、代わりに「生活」が取り入れられるようになり、生きる力を育むための総合的な学習に力が注がれるようになった。
しかしゆとり教育による学力の低下が指摘されるようになると、今度は「脱ゆとり教育」に方針を転換。08年には学習指導要領が脱ゆとり教育に沿って改定され、小学校では11年から導入、翌年には中学でも始まった。脱ゆとり教育ではゆとり教育の要であったはずの総合的な学習時間を削減し、理数教育に力を入れる。総授業時間も増加し、教科書のページ数も増量した。
脱ゆとり教育のもと、12年の国際学力テスト(PISA)で日本は「読解力」「科学的リテラシー」で世界第4位、「数学的リテラシー」で7位とかつてないほどの好成績を上げた。一方で経済協力開発機構(OECD)によるアンケートでは「数学を学ぶことに興味がある」という回答は平均53%だったのに対し日本は38%に留まっている。65カ国・地域のうち下から4番目という低さで、日本の生徒の学習意欲の低さが露わとなった。
今後ますます増加するであろう土曜授業が、詰め込み教育への逆行となるのではなく、ゆとり教育で謳った自主性を携えながら新たな教育へと舵を切れるかどうかが課題となりそうだ。(編集担当:久保田雄城)