国立科学博物館は8月26日、2014年度の重要科学技術史資料に富士フイルムの「フジカラー 写ルンです」など49件を新たに登録することを発表した。重要科学技術史資料は、次世代に引き継いでいきたい技術として「未来技術遺産」の愛称を持ち、08年10月9日に第1回が始まった。
国立科学博物館は8月26日、2014年度の重要科学技術史資料に富士フイルム<4901>の「フジカラー 写ルンです」など49件を新たに登録することを発表した。
重要科学技術史資料は、次世代に引き継いでいきたい技術として「未来技術遺産」の愛称を持ち、08年10月9日に第1回が始まった。対象となるのは、科学や産業発達に大きな役割を担った技術や、社会や経済など国民の生活に深く関わったものなどで、国立科学博物館が行う独自の調査によって選出される。第1号となったのは1910年に芝浦製作所が製作した「特別高圧油入変圧器(13.2kV 100kVA)」で、日本の電力技術の発展に大きく貢献したものとして登録された。今回の登録されたものを合わせると合計で184件になる。
「フジカラー 写ルンです」は86年に開発され、世界初のレンズ付きフィルムとして発売された。それまで高級品だったカメラを安価に提供し、誰でも手軽に使用できるようになった画期的な発明で、写真文化を社会に定着させたと言っても過言ではないだろう。ボタンを押すだけで写真が撮れるというシンプルな作りを徹底し、子どもでも簡単に操作することができる。世界でも広く使用されており、ピーク時には年間1億本が出荷され、累計で17億本を超えるヒット作となった。デジタルカメラやスマートフォンが普及した現在でも、年に3,000万本年以上売れ続けている。学生が修学旅行で使用することも多く、旅先などでも簡単に入手することができるため、今後も一定の需要が続くと見られている。最新製品では高機能タイプも用意され、水深10メートルまで使用できる防水機能付きのものや、手ブレが起こりにくい高速シャッターを採用しているものもある。
その他登録されたものには、2000年に発売されたシャープ<6753>のカメラ機能付き携帯電話「J-SH04」がある。メールに写真を添えて送る「写メール」が流行するきっかけとなった。現在ではほとんどの携帯やスマホ、タブレットに備え付けられているカメラだが、そのきっかけとなった製品でもあるだろう。(編集担当:久保田雄城)