大阪の地下鉄はこれからどうなるのか?

2014年09月20日 13:01

画・大阪の地下鉄はこれからどうなるのか?

大阪市の市鉄道ネットワーク審議会は8月28日、市営地下鉄4路線について、収支採算性、費用対効果から事業化が難しいとの答申をまとめた。事業化としては厳しい見解が明らかになったものの、この路線の沿線地域には次世代型路面電車などの代替策を幅広く検討すべきと言及されている。

 大阪市の市鉄道ネットワーク審議会は8月28日、市営地下鉄4路線について、収支採算性、費用対効果から事業化が難しいとの答申をまとめた。需要予測に基づいて、収支採算と費用対効果の試算を基に、財源確保、コスト削減、需要の3つの視点から、事業化の方策について検討してきた。4路線とは以下の既存路線の延伸と新設になる。地下鉄第8号線(今里筋線)の延伸(今里~湯里六丁目間)、地下鉄第7号線(長堀鶴見緑地線)の延伸(鶴町~大正間)、敷津長吉線(住之江公園~喜連瓜破間)、地下鉄第6号線(千日前線)の延伸(南巽~弥刀方面)。

 3路線の延伸はいずれも40年以内の累積欠損を解消できないという収支採算上の問題があり、3路線を地下鉄として整備する場合は、コストのさらなる削減に加え、国の補助制度の抜本的な改善、加算運賃の導入、需要の喚起・創出といった方策やその組み合わせが必要であるとされている。総工費は計4761億~5098億円となるとされている。

 これら路線は2004年10月に国土交通省近畿運輸局長の諮問機関である近畿地方交通審議会から出された答申の中で、鉄道の新規路線の整備が目標年次の20年、までの新路線13路線が示されているが、そこに含まれており、大阪市交通事業の設置等に関する条例にも明記された計画路線である。

 今回の答申では事業化としては厳しい見解が明らかになったものの、この路線の沿線地域には次世代型路面電車などの代替策を幅広く検討すべきと言及されている。

 しかし、未着手の地下鉄条例路線に関する市民・利用者アンケート結果(速報版)によると、未着手の地下鉄条例路線の整備について、75%程度の回答者は「これまで以上の税金投入に対して懸念がある」といった結果となった。

 11年度の経常利益は167億円であり、経営努力により経営の改善がされてきたが、市民の目は厳しい。橋下徹市長は地下鉄・バスの民営化を目指している。事業化が厳しいとする専門家による答申結果は、今後に影響を与えるはずだ。(編集担当:久保田雄城)