【日経平均】NYダウが連日3ケタ安でも38円安どまり

2014年09月24日 20:14

 22日のNYダウは107ドル安で6日ぶりに下落。NASDAQは52ポイント下落した。中古住宅販売がプラスの市場予測に反し1.8%減少。景気対策に後ろ向きな中国の楼継偉財務相の発言もあった。アリババは4.3%下落。23日発表の9月の中国のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は50.5で8月改定値の50.2から上昇し市場予測の50.0も上回ったが、雇用指数は46.9に低下し2009年2月以来の低水準に落ち込んだ。ユーロ圏購買担当者景況指数(PMI)が52.3で9カ月ぶりの低水準になり、米軍が「イスラム国」への空爆をシリアに拡大したこともありヨーロッパ市場は大幅下落。23日のNYダウは116ドル安と続落し、NASDAQは19ポイント下落した。財務省が海外移転による課税逃れ防止策を打ち出し、セントルイス連銀のブラード総裁が10月の次回のFOMCで例の「相当の間(considerable time)」の表現が変更されるだろうと発言し早期利上げ観測まで再浮上。下げ要因ばかりゾロゾロ飛び出した。アリババは3.0%続落しセカンダリーいまだ点火せず。新型iPhoneの販売が3日間で過去最高の1000万台超を記録したアップルは1.6%上昇した。一時的に円高が進行したが、24日朝方の為替レートはドル円が108円台後半、ユーロ円が139円台後半で、22日とほぼ同じ水準で円安基調は継続。

 22日に発表された8月のコンビニエンスストア売上高は、天候不順が直撃し前年同月比2.4%減で5ヵ月連続マイナスになり4月以降で最大の下落幅。反動減に強かったコンビニもお天気には勝てない。大手5社の既存店売上高はセブンイレブンだけがプラスで一人勝ち状態だった。

 CME先物清算値は16035円。休み明けの日経平均は100.34円安の16105.56円で始まる。TOPIXもマイナスでスタート。午前9時3分に16094円の安値をつけるが、9時30分前から日経平均もTOPIXもグングン上昇を始め、両方とも9時49分にピークをつけた。国連総会出席のために訪米中の安倍首相が「GPIF改革を重視している」「GPIFのポートフォリオを見直したい」と発言したのがきっかけで、塩崎厚生労働大臣ではなく総理大臣が言えば、とりわけ海外に対するインパクトは大きい。日経平均は16203円と前日終値にあと2円まで迫るがプラスには届かずに折り返す。それでも前場の残り時間はおおむね16170~16200円で小動きして底堅い。中国市場は上海は下落、香港は反発で始まったが、権利付き最終売買日を翌日に控え、権利落ちの前にできるだけ値を保って終わりたいという思惑も交錯している模様。しかし前引けは直前に売り圧力を受け16157円だった。

 後場は12円高く再開するが、そこから急落して16140円を割り込む。「臨時国会に補正予算案を提出する意向はない」という安倍首相の発言が失望を買ったのか為替のドル円が円高方向に振れていた。1時を回ると16120円を割り込む局面もあり、アメリカから小出しに出てくる「安倍発言」に一喜一憂。それでもおおむね16110~16130円のレンジで小動きして16100円は割り込まないのは、下げればGPIFや日銀が需給を支えてくれるという思惑がまさっている。2時を過ぎるとにわかに上昇して16150円を超える。終盤にも上昇して終値は38.45円安の16167.45円と休日をはさんで続落したが、欧米市場と比べると下落幅は小さかった。日中値幅は109円。TOPIXは-4.70の1326.18。売買高は21億株、売買代金は2兆2230億円と多かった。

 値上がり銘柄は741、値下がり銘柄は936で全体の51%を占めた。上昇セクターは10業種で下落セクターは23業種。プラス上位は建設、金属製品、倉庫、陸運、繊維、医薬品など。マイナス下位はゴム製品、証券、保険、情報・通信、海運、鉄鋼などだった。

 日経平均採用225種は値上がり70銘柄、値下がり146銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+15円、2位はファナック<6954>で+5円。マイナス寄与度1位は2969億円の大商いのソフトバンク<9984>で-26円で下落幅の約3分の2を占め、2位は東京エレクトロン<8035>で-6円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>0.5円安、三菱UFJ<8306>5.6円安、三井住友FG<8316>6円安。野村HD<8604>が11.7円安、大和証券G<8601>が12.9円安など証券セクターは業種別騰落率32位と悪かった。トヨタ<7203>は69円安。富士重工業<7270>はアメリカで4年後をメドに運転支援システムの「アイサイト(衝突被害軽減ブレーキ)」搭載車を現在の1割から8割に増やすと報じられ32.5円高で年初来高値を更新した。ホンダ<7267>は2.5円安、マツダ<7261>は5円高。ソニー<6758>は22.5円安で5日続落とトンネルの出口は見えない。東芝<6502>は0.4円高、シャープ<6753>は5円安。NEC<6701>は講談社と電子書籍用の新システムを開発と報じられたが6円安。三菱電機<6503>は未定だった中間配当予想を過去最高の9円と発表したが8.5円安。期末配当は未定のまま。村田製作所<6981>は売買代金12位で170円高で年初来高値更新と買われていた。

 NTT<9432>は売買代金7位で39円安。KDDI<9433>も売買代金8位で38円安、ソフトバンクは290円安で売買代金1位と通信大手は下げても売買は多い。主力銘柄が軟調な中でファナックは155円高で年初来高値更新と健闘した。5月に「稼いだ利益をすべて株主に配分する」と「ROE重視経営」を宣言しながらも「JPX日経400」採用は見送りだったアマダ<6113>は、4~9月中間期の営業利益が会社予想を15億円上回る90億円という業績観測記事が出て13円高。名村造船所<7014>と佐世保重工業<7007>は経営統合に先立って設計部門、営業部門を統合すると報じられたが名村造船所は15円安、佐世保重工は2円安で終えた。

 この日の特徴は「テーマ物色の復活」。カジノ関連のイチケン<1847>が42円高で値上がり率2位に入り、水素関連の三菱化工機<6331>は9円高。個人投資家に人気の中小建設関連は熊谷組<1861>は売買高7位で8円高、鉄建<1815>は売買高9位で9円高、三井住友建設<1821>は売買高10位で3円高、飛島建設<1805>は8円高、福田組<1899>は80円高で値上がり率4位、不動テトラ<1813>は14円高で値上がり率11位、戸田建設<1860>は22円高で値上がり率16位、ナカノフドー建設<1827>は20円高で値上がり率12位、大和小田急建設<1834>は44円高で値上がり率9位。ゼネコン大手の清水建設<1803>も30円高で建設セクターは業種別騰落率トップだった。