外資にとっては巨大市場か 深刻化する中国の高齢化社会

2014年09月27日 19:20

画・外資にとっては巨大市場か 深刻化する中国の高齢化社会★

中国では昨年末の時点で60歳以上の人口は既に2億人を突破しており、2025年には3億人を超えると予測されている。しかしその一方で、政府の対応は後手に回っており、貧富の差が極めて大きく社会的な経済基盤が不安定かつ脆弱な状態のまま高齢化社会に突入することになる。

 我が国において深刻な問題となっている少子高齢化。解決の糸口さえなかなか見つからない難しい問題だが、実はお隣の中国でも急速に人口の高齢化が進んでいる。
 
 中国では昨年末の時点で60歳以上の人口は既に2億人を突破しており、2025年には3億人を超えると予測されている。しかしその一方で、政府の対応は後手に回っており、貧富の差が極めて大きく社会的な経済基盤が不安定かつ脆弱な状態のまま高齢化社会に突入することになる。

 中国の少子高齢化はいわば「計画された少子高齢化」だ。1970年代以降実施された一人っ子政策により、それまでのあまりにも早すぎる人口増加のペースは確かに抑えられた。しかしその反動も大きく、中国は完全に先進国としての経済発展が成し遂げられる前に、今度は急激な高齢化に頭を悩ませることとなった。完璧だったはずの計画に少しずつ綻びが見え始めたのだ。年金改革など、政府はようやく高齢化対策に動き始めたところだ。

 一方、この中国の高齢化をビジネスチャンスと捉える見方も強まっている。全国老齢工作委員会作成の「中国養老産業計画」によれば、中国シルバー産業の市場規模は30年の時点で日本円にして170兆円以上にまで成長するという。同委員会では、今後高齢者関連の産業博覧会も開催する予定で、多くの関連企業の参加が見込まれている。

 現在、不動産関連企業や保険会社が高齢者向けの都市開発、金融商品などの準備を急ピッチで進めているが、それでも中国のシルバー産業はまだまだ未成熟といえる。高齢者の持っているニーズに関する市場調査さえ未だ満足には進んでいないのが現状だ。そのため既にノウハウの集積化が進んでいる他の先進国企業にとってはなんとしても参入に成功したい分野といえる。これまでの有形無形の資産を中国の文化とうまく融合させることができれば、莫大な利益を得ることができるだろう。

 日本では介護やレジャーなど、高齢者向けのサービスがあらゆる面で充実している。特に富裕層向けに特化したビジネスモデルでは日本企業に一日の長があるのは間違いなさそうだ。
 
 今後、競争の激化は必至といえる中国シルバー産業。新たな巨大市場で勝者となるのは一体誰なのだろうか。(編集担当:久保田雄城)