兵庫県議会が政務費見直し・・・「号泣県議」二度と生まぬ制度を

2014年09月27日 12:39

 その奇抜な会見で世間を騒がせた「号泣県議」野々村竜太郎元兵庫県議が9月18日、兵庫県警の取調べに「受け取った政務費の大半は議員活動に使っていない」、出張にも「ほとんど行っていない」と述べていることがわかった。連日マスコミでも面白おかしく取り上げられた野々村氏だったが、不正の内実はあまりにも姑息で卑劣なものだった。

 この野々村氏の登場で一躍日本中の注目を集めた兵庫県議会が、「名誉挽回」を狙い不正が起こらない制度作りを進めている。9月22日、兵庫県議会が政務活動費に関する条例を改正し手引きの見直し案をまとめた。その中には収支報告書のインターネット公開や切手のまとめ買いの禁止など、今回の問題で指摘された制度の穴を埋める努力がされている。さらに支出を監視する第三者機関も設置するなど、より透明性を高め不正を生み出さぬ土壌づくりを目指す。加えて支給額自体を一人50万円から45万円に減らし前払いを精算払いとするなど政務費のあり方も大幅な見直しが検討されている。

 今回問題となった政務活動費とは、「議員の調査研究その他の活動に資するための経費の一部」と使途が定められた議員の活動費のことで、議会活動にかかわるさまざまな経費に使用することができる議員にとって「便利な」活動資金である。政務活動費は現状多くの自治体で事実上チェックが不可能であり、一般企業では考えられないことだが領収証の添付すら求められていない自治体もある。

 忘れてはならないのは、この政務活動費が国民の税金から支払われているということだ。兵庫県議会が改革のための議論を進めているころ、埼玉県議会では角材やダンボールが積まれたコンテナを事務所として政務費から賃料月額7万円のうち6万3,000円を払っていたとして、自民党の小川真一郎県議が政務費を返還した。返還理由を小川氏は「報道の影響が大きかったため」と説明しているが、同時に「(賃料は)妥当な金額だ」とも主張しており、その発言には政務活動費が大事な税金であるという認識は微塵も感じられない。

 悲しいことだが、二度と「号泣県議」を生まぬためには議員のモラルに頼るのではなく制度を根本から見直すことが必要だろう。そのためにはまず、各自治体に委ねているルール作りを国が行うことも検討しなければならない。もっとも、国会議員もまた「政治とカネ」の問題で世間を騒がせている現状では、それも難しいのかもしれないが。(編集担当:久保田雄城)