気候変動などにより世界的に自然災害への危機感は高まっている。それに対応して、産学官連携で防災技術等の輸出促進を目指し、「日本防災プラットフォーム」が設置された。インフラ整備が進む新興国を対象に、防災分野の技術提供を行う。
防災技術等の輸出促進を目指す「日本防災プラットフォーム」(西口尚宏代表)は9月11日、東京都内で第1回年次総会を開いた。日本防災プラットフォームは、政府が推し進めるインフラシステム輸出戦略の一環で、民間企業の防災技術を積極的に海外へ展開することを目標に国土交通省が中心となって参加企業を呼び掛け、今年6月4日に設立された産学官連携組織だ。企業21社と団体が発起人となり、清水建設、三井不動産、三菱総合研究所、日立造船<7004>、パスコ<9232>などが参加している。気象観測による予報システムや、警報装置、建物の耐震化、防災マップや避難所運営マニュアルなど、様々な分野から総合的に防災計画をサポートしていく。
産学官の連携として、まず政府がODA(政府開発援助)や「防災協働対話」を通して国家間に協力体制を構築。防災分野のインフラ需要を掘り起こして、学術的知見により検証・調査を行い、企業が防災に関する製品や技術の提供を行っていく体制をとる。対象となるのは経済発展に伴いインフラ整備が急速に進む中、防災面にも課題を抱えている新興国で、ベトナム、タイ、ミャンマー、インドネシア、トルコ、南アフリカの国と協働体制を築いている。今後はODAの予算から現地に専門家を派遣し、防災関連の問題解決のための調査を実施する予定だ。
予測が追いつかない気候変動などにより、世界的にも自然災害に対する危機感は強くなっている。2012年度の世界の災害被害は14兆円にも達し、経済に与える打撃は計り知れない。特にアジアにおける被害は甚大で、世界全体の被災者のうち約9割に該当している。地震をはじめ、大雨による洪水や風水害などの自然災害が多発している今、防災への需要は高まっている。
政府は対象国への技術協力をきっかけに、東南アジア諸国連合(ASEAN)にも手広く防災技術のインフラ輸出を拡大していきたい考えだ。日本国内には東日本大震災を経て防災に関する課題を改めて再設定した会社も多い。それにより可能となったシステムの向上や技術革新を武器に、日本企業の海外躍進が期待されている。(編集担当:久保田雄城)