8日のNYダウは274ドル高で前日の下落分を全値戻しし3日ぶり反発。尻上がりに上昇し終盤17000ドルの大台にもタッチした。毎日ボラティリティが激しい。NASDAQは83ポイント上昇。FOMCの議事要旨が発表され、ヨーロッパの景気、ドル高の悪影響、低インフレ率の長期化への懸念の声が入っていたことで早期利上げ観測が後退した。決算発表前のアルコアは0.8%上昇。エボラ出血熱の騒ぎが続き医薬品株は大幅高、航空関連株は大幅安。9日朝方の為替レートはドル円が円高に振れて108円台前半、ユーロ円は137円台後半で、ユーロは高く戻していた。
CME先物清算値は15695円。取引時間前に発表された8月の機械受注は前月比4.7%増で市場予測の1.0%増を大きく上回った。SQ週の火曜、水曜の「鬼門」を通過した日経平均は85.55円高の15681.53円と反発スタート。TOPIXもプラスで始まり直後に1280台に乗せる。15700円を突破して午前9時17分に15732円まで上昇するが、5日移動平均の15728円近辺で上値を抑えられ、9時台後半は下落して15700円を割り込み9時43分には15643円まで下げ、TOPIXは1280を割り込みマイナスに落ちる。為替は円安方向でもTOPIXに大規模な指数先物売りが入った。
10時台も下落は続き10時19分に15618円まで下げ、TOPIXは1270ギリギリまで下げる。ファーストリテイリング<9983>など値がさ株の上昇に支えられ日経平均はプラスを維持するが、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回りTOPIXはマイナスという、前日とは逆パターンの「NTねじれ現象」が続く。上海総合指数も香港ハンセン指数もプラスで始まると日経平均も反応して15700円付近まで上昇し、TOPIXも一時プラスに浮上した。11時に9月末の東京都心部オフィス空室率が発表され、8月末から0.37ポイント低下し5.65%で5年7ヵ月ぶりに5%台まで下がり、15ヵ月連続の改善。11時台の日経平均は15650~15670円のレンジの小動きで推移し、前引けは15666円だった。
昼休みに為替のドル安円高が進んで108円を割り込み、後場はマイナス圏の15590円で再開し午後0時32分に15563円まで下落する。1時台はさらに下げて1時52分に15489円と、とうとう9月1日以来の15500円割れ。2時台は15500円台前半に持ち直すが、終盤に再び仕掛け売りが入って再び15000円を割り、大引けにかけてどんどん下げる。2時56分に15461円のこの日の安値をつけるが、皮肉にも為替は円安に反転し109円に接近していた。終値は117.05円安の15478.93円で3日続落。日中値幅は271円もあった。TOPIXは-14.07の1260.78。売買高は22億株、売買代金は2兆1112億円で3日連続2兆円超え。
値上がり銘柄は165、値下がり銘柄は1611で全体の87%を占めた。値上がり1業種に対し値下がりは32業種。プラスセクターは水産・農林のみで前日と同じ。マイナスセクターで下落幅が小さいのは小売、繊維、電気・ガス、不動産、空運など。下落幅が大きいのは建設、金属製品、電気機器、機械、卸売、倉庫などだった。
日経平均採用225種は値上がり20銘柄、値下がり199銘柄。プラス寄与度1位は大引け後に8月期の本決算発表を控えていたファーストリテイリング<9983>で+21円、2位は東京エレクトロン<8035>で+4円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>で-9円、2位はファナック<6954>で-6円。ともに後場マイナスに転じていた。
三菱UFJ<8306>は4円安。みずほ<8411>は0.8円安、三井住友FG<8316>は53.5円安。野村HD<8604>は4.2円安だった。円高進行で自動車大手はトヨタ<7203>12円安、ホンダ<7267>15.5円安、富士重工<7270>79.5円安、マツダ<7261>47円安と軟調。電気機器セクターは業種別騰落率31位と不振で、ソニー<6758>は32.5円安、東芝<6502>は8.8円安、日立<6501>は10.2円安、シャープ<6753>は6円安、NEC<6701>は11円安、OKI<6703>は7円安だった。
村田製作所<6981>は345円の大幅安。キヤノン<7751>は三菱UFJ証券がレーティングを引き下げ59.5円安。NTT<9432>は売買代金7位に入り37円高と逆行高したがKDDI<9433>は82円安。車載情報機器関連としてテーマ物色されたクラリオン<6796>は35円安で値下がり率5位、ティアック<6803>は4円安で年初来安値を更新し同11位と売られた。蛇の目ミシン工業<6445>は売買高4位と相変わらずの人気だが15円安で値下がり率4位。エボラ出血熱関連の日本エアーテック<6291>は一時ストップ高の100円高で年初来高値を更新し値上がり率1位だが、富士フイルムHD<4901>は売買代金5位でも129.5円安だった。
前夜発表のノーベル化学賞の受賞テーマは「超高解像度の蛍光顕微鏡」。バイオ研究に使われる蛍光顕微鏡はドイツのライカ、カールツァイスの他、日本ではオリンパス<7733>、キーエンス<6861>が生産する。しかしオリンパスは35円安、キーエンスは835円安。子会社がカールツァイス製品を販売する島津製作所<7701>は6円安。千代田化工建設<6366>は海洋ガスプラントに参入する話題があったが22円安。同業の東洋エンジニアリング<6330>はバークレイズがレーティング、目標株価を引き上げ38円高で値上がり率4位に入った。
新聞に主要企業の4~9月中間期の業績観測記事が増えてくる時期。航空機向けに炭素繊維が好調な東レ<3402>は営業利益13%増の観測が出て0.3円高。王子HD<3861>は営業利益2割減の観測が出て5円安で年初来安値を更新した。小野薬品工業<4528>は後発医薬品の使用促進策の影響が想定以上で4~9月中間期の純利益見通しを34億円に下方修正し280円安になった。
服飾資材、自動車内装品、カメラ資材などを扱う大阪の専門商社で東証2部のモリト<9837>は、アメリカの服飾資材卸のスコーヴィル社を買収しH&Mなどアパレルメーカーに販路拡大という報道があり、東証は「真偽確認のため」9時21分まで売買一時停止措置をとった。取引再開後の株価はプラスとマイナスを往復したが終値は8円高だった。