ヤマハ発動機<7272>が、世界各国から自社の整備士が参加する「第6回ワールドテクニシャンGP2014」を、9月30日、10月1日の2日間に渡って開催した。
このワールドテクニシャンGP(WTGP)とは、YTA(ヤマハ・テクニカル・アカデミー)で培った技を競う世界大会のことで、2年に1度で開催されるもの。YTAは、ヤマハが提唱する「顧客が世界の何処のディーラーでも、均一で高品質なサービスが受けられる」という、グローバル・サービス理念に基づいて発足させた教育機関だ。各教育拠点で整備士を育成し、習得レベルに応じて、ブロンズ、シルバー、ゴールドの認定資格が与えられる。今回のWTGPでは21カ国、3万3000人もの整備士が参加し、その内、18カ国、20名が各国の代表となって世界一の座に挑戦した。
WTGPの競技内容としては、まずスポーツモデルクラスとコミューターモデルクラスがあり、それぞれ「整備知識競技」「基礎整備技術競技」「故障診断競技」「お客様対応競技」の4つの総合評価で争われる。今回、取り上げたのは「故障診断競技」と「お客様対応競技」の2つ。まず、愛車が故障してしまったお客が、販売店に来店するという設定から審査が始まる。審査のポイントは、修理技術やサービスのスキルはもちろんのこと、服装の身だしなみや部品、工具の取り扱い、お客様への気配りなどまでが含まれ、受付から修理、納車までの総合的な対応力が問われる。モデルクラス別に不具合箇所は統一し、診断するバイクも、各国が導入している主力モデルを使用することによって、競技者間での差が生じないように設定されている。
2日間に渡って争われたWTGPの結果だが、スポーツモデルクラスはスペイン、コミューターモデルクラスはインドが栄光のグランプリに輝いた。大会初となった女性選手(ベトナム代表)は、コミューターモデルクラスのCS(顧客満足)アワードを獲得した。
現在、主要21拠点におけるヤハマ整備士の総数は約5万人と、継続して増加している中、YTA資格者も3万3000人と着実に伸張している(ヤマハの総整備士における比率67%)。各国の概要としては、整備士総数が多く、好結果な北米・大洋州、インドネシア、中国に対し、経済状況が停滞している欧州や、拡大展開中の中南米とベトナムがある。
世界規模で、しかも世界統一基準で争う整備士のコンテストを開催しているのは、ヤマハのみだという。「プロの整備技術で、ひとりひとりのお客様とのより良い関係作り」を目指すヤマハの試みは、高品質な商品とサービスを提供することができる、ニッポンのお家芸を、世界に周知させてくれることだろう。(編集担当:鈴木博之)