北海道電力<9509>の家庭向け電気料金について、小渕優子経済産業大臣が11月の再値上げ幅を平均15.33%にすると明らかにし4円安。値上げ幅は10電力最大。北電は安心しても、道民は苦しむ。その経済産業省は大規模太陽光発電施設の新規認定一時停止の検討に入ったと報じられ、太陽光発電関連のサニックス<4651>は50円安で年初来安値を更新し値下がり率2位、ウエストHD<1407>も67円安で年初来安値更新、パワーコントローラーの田淵電機<6624>は64円安。再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」に電力会社が悲鳴をあげているためで、新増設を抑制し買取価格も下げるという。3年前は大手企業がメガソーラー事業に競って参入し「時代の寵児」だったのが一転、地球への愛など不毛な「太陽はひとりぼっち」の時代がやってくる。東北電力<9506>系の電気工事会社のユアテック<1934>は4~9月中間期と通期の業績見通しを上方修正し26円高で値上がり率8位。太陽光や風力で実績をあげているが今後はどうなるのか。
清水建設<1803>は大和証券がレーティングを引き下げ、目標株価を引き上げた。株価は32円安。こんな「股裂き投資判断」はごくたまに見られる。大和ハウス工業<1925>はファーストリテイリングと組んで新会社を設立し、ネット通販で受注した商品をその日のうちに発送できる物流施設を建設・整備すると報じられたが35.5円安。第1号として2016年に東京都江東区で大型拠点を稼働させ首都圏で即日配送を始める。LIXILG<5938>は11時に4~9月中間期の営業利益を310億円から130億円に下方修正と発表。50%減の大幅減益で、25円安で6日続落し年初来安値更新。三井金属<5706>はみずほ証券がレーティングと目標株価を引き上げ全面安の中で値動きなしと健闘した。
食料品セクターは業種別騰落率5位。カルビー<2229>は4~9月中間期の営業利益24%増の110億円という業績観測が出たが25円安。7~9月期の国内ビール出荷額が天候不順で過去最低を記録。サッポロHD<2501>は8円安、アサヒGHD<2502>は68.5円安、キリンHD<2503>は22円安。東洋水産<2875>はゴールドマンサックスがレーティングを引き下げ70円安だった。
小売セクターは業種別騰落率3位。高島屋<8233>は10日に3~8月中間期決算を発表し、営業収益は1%増、営業利益は9%増、純利益は26%増とポジティブ。既存店売上高が上振れし、特に免税品売上高は28%増だったという。2月期通期の営業利益見通しは10億円上方修正して10%増の320億円、純利益見通しは10億円上方修正して15%増の215億円で下期も増収増益を見込む。終値は2円高だった。日経新聞の10~12月期の30業種「産業天気図」で天気が崩れたコンビニはセブンイレブンのセブン&アイHD<3382>は97円安、ローソン<2651>は90円安、ファミリーマート<8028>は30円高。家具とホームセンターの島忠<8184>は8月期決算を発表し営業利益3.5%増。今期営業利益は2.9%増の増益見通し。同時に120万株、30億円の自社株買いを発表し、三菱UFJ証券が目標株価を引き上げ160円高で年初来高値を更新し値上がり率6位。ヤマダ電機<9831>は3円高。ドンキホーテHD<7532>はドイツ証券がレーティングを引き上げ150円高だった。
松竹<9601>は10日に2月期通期の売上高を881億円から902億円に、営業利益見通しを46.4億円から64.9億円に、純利益見通しを16%減の17億円から62%増の33億円にそれぞれ上方修正し2円高。歌舞伎座は活況が続き、映像関連事業は「ホットロード」「超高速!参勤交代」がヒット。映画興行事業も「アナと雪の女王」の大ヒットで伸びた。ノーベル平和賞を受賞したマララさんの著書の邦訳「わたしはマララ」を傘下企業から出版し、緊急増刷が決まった学研HD<9470>は3円安で年初来安値更新。日本では文学賞のモディアノ氏よりも本が売れそうだが。
日本通運<9062>は電子機器の製造受託サービス会社(EMS)の日本マニュファクチャリングサービス<2162>と組み、海外進出を図る中小企業から部品の製造、物流を一括で請け負う事業に乗り出すと報じられたが8円安で年初来安値更新。日本マニュファクチャリングサービスは15円高だった。後場に日経平均の足を引っ張ったのが業種別騰落率最下位の空運セクターで、エボラ出血熱がらみのアメリカの航空株下落に連動した。ANAHD<9202>は売買高5位で12.8円安、JAL<9201>は153円安。テロも怖ければ病気も怖いで航空需要減退を心配する。パソナG<2168>は11円安で5日続落。三菱UFJ証券が目標株価を引き下げていた。
ネット・コンテンツ関連銘柄ではグリー<3632>の売買が盛り上がり売買高9位、売買代金10位に入ったが結局15円安。DeNA<2432>は20円高だった。新興市場は日経ジャスダック平均が1.33%下落、東証マザーズ指数が3.20%下落。それでもFFRI<3692>は1180円高でこれで8日続伸し、もう、どうにもとまらない。
この日の主役は「エボラ出血熱」。アメリカの疾病対策センターが12日、ダラスの病院で亡くなったリベリア人男性の治療に関わった女性看護師の感染を確認。さらに、ボストンの空港に到着したドバイ発エミレーツ航空機の5人の乗客が感染の疑いありというニュースで全米騒然。終盤のNYダウを下落させたが検査結果はシロだった。東京市場の関連銘柄も逆行高し、富士フイルムHDは売買代金7位に入り33円高。日本エアーテック<6291>はストップ高の150円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。マスクの重松製作所<7980>はストップ高の150円高、興研<7963>はストップ高の400円高。バイオ防護服のアゼアス<3161>はストップ高比例配分の150円高で年初来高値更新。日本アビオニクス<6946>がストップ高の80円高と買われ年初来高値を更新した理由は、飛行機から降りてきた熱のある乗客を発見できる「サーモグラフィー」を空港に納入しているため。熱があればマラリアでもデング熱でもただの風邪でも「エボラ出血熱か?」と疑われてしまうピリピリムードだ。(編集担当:寺尾淳)