9日のNYダウは334ドル安、NASDAQ総合指数は90ポイント下落。今週は日替わりで天国と地獄を行ったり来たりする大変動で、NYダウの日足チャートはまるでバーコード。ワシントンDCでのG20財務相・中央銀行総裁会議を前に特にこれといった悪材料はなく、ヨーロッパ経済の停滞、日本の景気減速、為替のドル高、原油など商品価格の下落、企業決算懸念などをひっくるめたアメリカ経済、世界経済に対する「漠然とした不安」で下げてダウ30種は全てマイナス。金融株もエネルギー株も景気敏感株も安くなり、決算が良かったアルコアも4.2%下落した。インテルは1.9%、フェイスブックは2.0%下落したが、アップルは0.2%、アリババは0.6%上昇。10日朝方の為替レートはドル円が107円台後半、ユーロ円が136円台後半で、円高が大きく進行していた。
CME先物清算値は15305円。9月の工作機械受注額は前年同月比34.8%増でリーマンショック後の単月最高額。取引時間前に発表された8月の第三次産業活動指数は前月比0.1%減で市場予測の0.4%減を上回った。1964年の東京五輪50周年の日は指数オプション取引と指数ミニ先物の特別清算指数を算出する「マイナーSQ(オプションSQ)」だが、NYダウ大幅安、ドルもユーロも1円を超える円高急進で大荒れ覚悟。日経平均は186.05円安の15292.88円で始まる。TOPIXは1240を割り込んで開始。5分ほどでSQ推計値15296.37円が出るが、その時点ですでに「まぼろしのSQ値」ではなくなった。午前9時14分に15259円まで下落するが、その後はおおむね15300円を軸に30円幅で動く展開。香港政府と学生団体が10日の対話集会を見送ってハンセン指数はマイナス。上海総合指数もマイナスだったが、日経平均は10時台後半に少し上昇して10時56分に15345円まで上昇。その後も15300円を割ることはなく前引けは15326円だった。
後場は下げ幅を少し拡大して再開し、すぐに15300円を割り込む。15300円に戻れないままに午後1時台は値を切り下げ1時43分に15221円で底を打つ。その後、15250円オーバーの水準まで少し戻した。2時に9月の消費動向調査が発表され、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数は前月比1.3ポイント低下し39.9。内閣府は基調判断を「持ち直しのテンポが緩やかになっている」から「足踏みがみられる」に下方修正した。日経平均は15250円を軸におおむね上下40円幅ぐらいで推移。利益確定売りの金曜日は3連休前は下げがきつくなる上に、日替わりで大幅高と大幅安を繰り返すアメリカ市場への「連休中に何があるかわからない」という警戒感もある。それでも終盤上昇してSQ値の15296円を超え15300円にタッチ。終値は178.38円安の15300.55円で4日続落し1勝4敗、前週末3日終値から408.10円下落して今週の取引を終えた。それでもSQ値を上回ったので連休明けにささやかな期待をつなぐ。日中値幅は124円。TOPIXは-17.69の1243.09。売買高は28億株、売買代金は2兆6877億円でSQ日らしく商いは盛況だった。
東証1部の値上がり銘柄数は125、値下がり銘柄数は1664で全体の90%を占めた。33業種別騰落率は全セクターがマイナス。下落幅が小さい業種は水産・農林、不動産、倉庫、医薬品、陸運、小売など。下落幅が大きい業種は鉱業、非鉄金属、銀行、機械、電気機器、鉄鋼などだった。
日経平均採用225種は値上がり17銘柄、値下がり205銘柄。プラス寄与度1位は決算を評価されて孤軍奮闘し日経平均を終始下支えしたファーストリテイリング<9983>で+24円。2位は住友不動産<8830>で+1円。マイナス寄与度1位はファナック<6954>で-19円、2位はソフトバンク<9984>で-15円だった。
ネット通販の即時決済に対応するため、現在3時までの銀行の振込受付時間を4時まで延長する話が伝えられた。メガバンクはみずほ<8411>は3.7円安で年初来安値更新、三菱UFJ<8306>は12.2円安、三井住友FG<8316>は126.5円安。野村HD<8604>は2.6円安でこの地合いで健闘した部類。
アメリカのインターブランド社が2014年の「世界ブランドランキング」を発表した。1位はアップル。日本企業は7社が100位以内にランクインし、自動車大手では8位(前年10位)に入り日本企業では最高のトヨタ<7203>はメリルリンチがレーティングを引き上げたが20円安、20位(前年20位)のホンダ<7267>は52.5円安、56位(前年65位)の日産<7201>は15.8円安だった。100位圏外の富士重工<7270>は48.5円安、マツダ<7261>は68円安。電機大手は52位(前年46位)のソニー<6758>は0.5円安、64位(前年68位)のパナソニック<6752>は31.5円安。100位圏外のシャープ<6753>は国慶節休暇明けの中国・北京市のPM2.5濃度急上昇で空気清浄機の売上増期待が出て値動きなしと健闘、日立<6501>は10.2円安、東芝<6502>は8.7円安、NEC<6701>は12円安だった。それ以外の100位以内の銘柄には37位に41円安のキヤノン<7751>(前年35位)、100位に140円安の任天堂<7974>(前年67位)があった。
鉄道部品メーカーが鉄道王国の中国市場で攻勢に出る話題。保守事業の合弁会社を設立する東洋電機製造<6505>は2円高。北京市の地下鉄に車両用ドア1100枚を供給するナブテスコ<6268>は94円安。富士フイルムHD<4901>は「アビガン(ファビピラビル)」のエボラ出血熱患者への投与地域がフランス、ドイツに続きスペイン、ノルウェーにもひろがったが75.5円安。値上がり率1位はその関連の日本エアーテック<6291>で、102円高で年初来高値を更新していた。ロート製薬<4527>はバークレイズがレーティングを引き上げ63円高で値上がり率8位。ポーラオルビスHD<4927>は1~9月期の営業利益が過去最高を更新し105円高で値上がり率17位だった。
松屋<8237>は、3~8月中間期の営業利益見通しを6億円から7.6億円に、2月期通期の営業利益見通しを16億円から18億円に上方修正したものの55円安。銀座も浅草も外国人観光客が多く、その来店増加も寄与した。中期経営計画最終年度の2016年2月期の営業利益見通しも15億円から19億円に引き上げている。ファーストリテイリングは前日に8月期本決算を発表。営業利益は2.8%減の1304億円で従来予想の9.5%増の1455億円から一転減益。海外のJブランド事業で減損損失193億円計上が響いた。今期2015年8月期の営業利益見通しは38%増の1800億円、純利益は34%増の1000億円で、年間配当予想を20円増配の320円とした。営業利益が市場予測を大幅に上回ったのを評価され、メリルリンチ、野村證券は目標株価、SMBC日興証券はレーティングと目標株価をそれぞれ引き上げ終値は635円高だった。