【日経平均】今年最大578円の超・全面高で15100円台回復

2014年10月20日 20:12

 建設セクターは業種別騰落率4位。大林組<1802>は2015年までに3D画面を使って設計期間を短縮する記事が出て32円高。48円高の前田建設工業<1824>も中小工務店に作業用タブレット端末を2000台貸し出すという記事が出ていた。建設業でもIT化は着々と進んでいる。売買高5位の三井住友建設<1821>は6円高、同6位の熊谷組<1861>は20円高、同9位の飛島建設<1805>は19円高で年初来高値を更新した。ヤマト<1967>は受注が堅調で4~9月中間期の営業利益見通しを8000万円から4.7億円に大幅上方修正。32円高で年初来高値を更新し値上がり率6位だった。17日に着工が認可されたリニア関連銘柄は、JR東海<9022>は630円高と大幅反発し、日本コンベア<6375>は19円高で7.48%上昇。トンネル工事に欠かせない地質調査を行う応用地質<9755>は211円高で値上がり率3位。建機レンタル最大手のカナモト<9678>は10月期末実施の設立50周年記念配当を5円から10円に、期末配当予想を15円から20円に増額修正し205円高になっていた。

 前週は売り込まれた医薬品セクターは、アステラス製薬<4503>は75.5円高、塩野義製薬<4507>は4~9月中間期の純利益見通しを下方修正したが124円高だった。大塚HD<4578>は4~9月中間期の営業利益が従来予想より100億円多く過去最高という業績観測で179円高。統合失調症治療薬「エビリファイ」など医薬品部門が好調で、天候不順で「ポカリスエット」が不振だった食品部門の落ち込みをカバーした。

 コンビニ第5位のミニストップ<9946>は今年度末の総店舗数が創業以来初めて前年度末を割り込む見通しだが27円高。第4位のサークルKサンクスも3年ぶりに店舗減の見通しで「コンビニ3強」との差がますます開く。食品スーパーも強敵。家具とホームセンターの二刀流のナフコ<2790>は4~9月中間期の業績見通しを下方修正し58円安。小売業では反動減に天候不順が追い討ちをかけたという話が非常に多い。今期は業績V字回復を見込み株価もその期待で上昇したJIN<3046>は、今期の出店を6割減の25店舗に減らし人材教育に力点を置くと報じられたが107円安で値下がり率8位。しかし企業経営には、数を追求していい時期と中身の充実を追求すべき時期が交互にやってくる。それをうまく見極められるのが優れた経営者。「数は力」という〃拡大信仰〃で強気一辺倒の果てにコケるのが愚かな経営者で、それを「元氣があってよろしいっ!」などと言ってはいけない。

 19日に開催された北京国際マラソンは空気のあまりの悪さに出場取り消しや途中棄権が相次いだ。中国の大都市ではもはや「生命維持装置」視される空気清浄機の話題が2件。東レ<3402>は10億円を投じて中国で空気清浄機用フィルターの生産能力を倍増させると報じられ17円高。すぐ真っ黒になれば取り替え頻度も多くなる。ダイキン工業<6367>は中国でエアコン、空気清浄機84万台のリコールが報じられたが306円高だった。

 超・全面高のこの日に逆行安したのは前週、他に買えるテーマがなくて買われた面もあったエボラ出血熱関連銘柄。代表格の富士フイルムHD<4901>はさすがに売買代金8位、169円高の貫禄だったが、日本エアーテック<6291>はストップ安の300円安で値下がり率1位。その他、値下がり率ランキングでは3位に帝国繊維<3302>、5位に小津産業<7487>、13位にシキボウ<3109>、14位に栄研化学<4549>が入り、ホギメディカル<3593>、アゼアス<3161>、信用規制が入った日本アビオニクス<6946>もマイナスで終えていた。

 18日にプロ野球の阪神タイガースが読売ジャイアンツを下して日本シリーズ進出を決めた。親会社の阪急阪神HD<9042>は22円高、「想定外の4タテ」で商品の仕入れが間に合わなかったのか阪神百貨店の記念セールは日本シリーズ後にお預けのH2Oリテイリング<8242>は58円高、有力スポンサーの上新電機<8173>は42円高。敗者側も東京ドーム<9681>は12円高、よみうりランド<9671>は17円高。日本シリーズの対戦相手が福岡ソフトバンクホークスか、北海道日本ハム<2282>ファイターズかは、20日に決まる。

 上場3日目のリクルートHD<6098>は峰岸真澄社長が日経新聞のインタビューで「1000億円以上のM&Aもありうる」と発言すると255円高と続伸。売買代金3位でセカンダリー人気上々。一方、9日に再上場したすかいらーく<3197>は54円安で値下がり率6位。終値で公開価格を一度も上回れないまま。ネット・コンテンツ関連では「千年の巨神」の事前登録者が10万人を突破したenish<3667>はストップ高の400円高で値上がり率1位と好調だったが、カドカワドワンゴ<9468>は89円安と逆行安し値下がり率7位。株価は経営統合・再上場の1日から16.3%も下落した。ドワンゴは人気銘柄だっただけに、「表に出るのは角川さん(角川歴彦相談役)ばかり」という「角川主導」のニュアンスが敬遠されたのだろうか?

 新興市場も全面高で日経ジャスダック平均は2.11%、東証マザーズ指数は日経平均のそれを上回る4.35%の上昇。日本通信<9424>はiPad向けの大容量データ通信サービスを10月中に始めると発表してストップ高の80円高と買われていた。

 この日の主役は前週まで低迷が続いた自動車大手。円安進行と需給改善を追い風に心ゆくまで上昇して、輸送用機器セクターは業種別騰落率3位に入った。トヨタ<7203>は297円高で5.18%上昇、ホンダ<7267>は112.5円高で3.46%上昇、富士重工<7270>は205円高で6.72%上昇、マツダ<7261>は122円高で5.60%上昇、スズキ<7269>は176円高で5.81%上昇、デンソー<6902>は204円高で4.51%上昇。ダイハツ工業<7262>は三菱UFJ証券が目標株価を引き下げても39円高で2.58%上昇していた。(編集担当:寺尾淳)