アナ雪のヒットでも安泰でない? 危機に瀕する映画ビジネス

2014年10月20日 10:36

画・アナ雪のヒットでも安泰でない? 危機に瀕する映画ビジネス★

松竹は、2015年2月期の連結業績予想を上方修正した。税引き後の利益は従来予想のほぼ2倍の33億円。また売上高は4月時点の予想より21億円増の902億円、そして本業のもうけを示す営業利益は18億円増の64億円となる見通しだ。しかし前年度に比べて営業減益の数字ではある。

 松竹<9601>は10月10日、2015年2月期の連結業績予想を上方修正した。税引き後の利益は従来予想のほぼ2倍の33億円。また売上高は4月時点の予想より21億円増の902億円、そして本業のもうけを示す営業利益は18億円増の64億円となる見通しだ。しかし前年度に比べて営業減益の数字ではある。

 同社は、ディズニーのアニメーション映画「アナと雪の女王」がヒット。14年3月14日に公開されると人気に火がつき、公開19週目の7月19日には興行収入が250億円を突破。01年に公開された「千と千尋の神隠し」以来13年ぶりの記録となり、日本の歴代興行成績の3位の数字となった。関連商品も盛り上がっており、ブルーレイディスクやサウンドトラックもヒットし、主題歌の「Let It Go?ありのままで?」も人気となっている。

 しかし映画のビジネスモデルは破綻しようとしている。シネコンこそ数が増えているものの、映画館の閉館は増加。13年には銀座テアトルシネマが閉館し、14年には新宿ミラノと丸の内ルーブルが閉館する予定だ。

 またコンテンツのインターネット配信の勢いにも押されている。最近でも、ソフトバンクが、アメリカ版「ゴジラ」やバットマンを製作した、アメリカの映画製作会社「レジェンダリー・エンターテインメント」に約270億円を出資。コンテンツ配信の合弁会社を設立する。音楽業界がインターネットの配信に押されて、CDの販売不振が続いている現状と状況が被る。

 日本の映画料金は世界的に見ても高い傾向がある。またマンガや小説原作の映画が多く、脚本家が育つ土壌がないなどの問題点もある。娯楽の数が多くなる中で地位が低下し、粗製乱造や二極化なども懸念される日本の映画業界。松竹も昨年4月に再開場した歌舞伎座が、同社の業績を押し上げた。大ヒット作に依存しない経営モデルの模索が続いている。(編集担当:久保田雄城)