【日経平均】224円の大幅上昇で下落分の「半値戻し」達成

2014年10月29日 20:28

 楽天<4755>は格安スマホ参入のニュースがあり31円高。ソースネクスト<4344>は格安スマホでも月360円でアプリが使い放題になる定額サービス「アプリ超ホーダイ」を始めると報じられ15円高。同様のサービスで先行するKDDIは98円高で年初来高値を更新した。電力系設備工事会社の東京エネシス<1945>は通期営業利益見通しを15億円から27.5億円に上方修正すると76円高で年初来高値を更新し値上がり率3位。「原発が1基も動かない夏」にフル稼働した火力発電所の緊急点検・修理が多かったという。

 塩野義製薬<4507>は後場に4~9月中間期決算を発表したが薬価改定の影響などで営業利益は18.7%減。それでも通期の営業利益見通しを450億円から市場予測を超える495億円に上方修正し24円高。武田薬品<4502>はアメリカでの訴訟の損害賠償額が6470億円から30億円に大幅ディスカウントされ前日は上昇したが、因果関係で争っていて早期和解は難しいという見方が浮上し1.5円安。花王<4452>は1~9月期決算を発表し経常利益は0.1%減の844億円。微減ながら通期計画の1330億円に対する進捗率は63.5%にとどまり37.5円安だった。

 セブン&アイHD<3382>はそごう、西武、イトーヨーカ堂、ロフト、アカチャンホンポなどの300万点の商品を消費者がネットで購入すると即日コンビニ(セブンイレブン)で受け取れるサービスを始めると報じられ95円高。2015年中にまず首都圏7000店舗で可能にする。ネット通販にとってはこの「オムニチャネル戦略」は脅威になる。

 JR東日本<9020>は4~9月中間期の純利益が微増の1360億円で6円安。阪急阪神HD<9042>は後場に4~9月中間期決算を発表し経常利益12.9%減。通期の経常利益見通しを770億円から800億円に上方修正し減益率が1.5%減に圧縮されたが1円安だった。JAL<9201>は燃料費高で4~9月中間期の営業利益が10%減という業績観測が出たが43円高。最近の原油安で下半期は改善という見方か? 三菱地所<8802>は4~9月中間期の営業利益20%減という業績観測が出たが20円高だった。

 ブライダル関連のエスクリ<2196>は4~9月中間期の業績見通しを引き上げ、営業損益黒字転換でも74円安で値下がり率7位。ベネッセHD<9783>は、顧客の個人情報漏洩問題で自粛していた新規顧客への営業活動を11月から再開と発表し40円高。人気アニメ「ワンピース」の権利を持つ東映アニメーション<4816>は通期営業利益見通しを24億円から32億円に上方修正して30円高。スマホアプリへの権利許諾が活発という。

 東証1部の主力銘柄が盛んに買われたため新興市場は日経ジャスダック平均は0.43%上昇したが東証マザーズ指数は0.97%下落。前日大幅高のミクシィ<2121>は4~9月中間期の営業利益が140億円で過去最高益を更新する業績観測が出たが「材料出尽くし」で470円安と大幅反落。ガンホー<3765>は18円高で6日続伸していた。

 この日の主役は野村HD<8604>。前日に4~9月中間期決算を発表し、税引き前利益は32.5%減の1256億円に減少。7~9月期も1.5%増の740億円にとどまり、純利益は30.1%減の727億円だった。しかし発行済株式数の1.09%相当の4000万株、280億円上限の自社株買いの実施を同時に発表したため売買高5位、売買代金8位と買われ26.8円高で証券セクターを業種別騰落率トップに押し上げた。株主還元自体は歓迎すべきで全く違法ではないが、証券最大手で数多くの新規上場銘柄の幹事証券に名を連ねる「天下のノムラ」が自ら、本来はマーケットから株価下落の厳しい評価を下されてしかるべきネガティブな決算を、同時発表の自社株買いで巧みに覆い隠して株価を下支えし逆に上昇させてみせた。こんなマーケット、投資家への敬意を欠いたような行為をして、経営陣は良心の呵責を覚えないのだろうか?(編集担当:寺尾淳)