【日経平均】「大引け劇場」は急落だったが104円高で続伸

2014年10月30日 20:16

 KDDI<9433>は4~9月中間期の営業利益が過去最高という業績観測で1円高。関西電力<9503>は4~9月中間期の売上高は料金値上げ効果で4%増でも経常利益94%減、純利益82%減と発表。前年同期は稼働中だった大飯原発が停止し火力発電の燃料費が9%、他社からの購入電力料が18%増え採算を圧迫した。通期売上高見通しは4%増の3兆4500億円。利益見通しは未定で、八木誠社長は「原発再稼働がなければ厳しい赤字決算になる」と述べた。しかし39円高。従業員の冬の賞与の支給を見送る方向で労働組合と最終調整に入っており、ゼロなら2年連続で夏も冬も無慈悲なボーナス支給なし。

 関電ではなく東電系の関電工<1942>は4~9月中間期の営業利益が7%増の44.6億円で従来予想の38億円を上回り66円高で値上がり率3位。売買高ランキング常連で4位の三井住友建設<1821>は4~9月中間期の営業利益見通しを27億円から41.5億円に上方修正し4円高。カジノ関連銘柄イチケン<1847>は通期の営業利益見通しを11億円から14億円に上方修正し14円高だった。

 新日鐵住金<5401>は後場、増収減益の4~9月中間期決算を発表。通期見通しは売上高と純利益を上方修正するなど複雑だったが売買高5位で2.9円高。日本精化<4362>は通期業績見通しを上方修正して79円高で年初来高値を更新し値上がり率7位。積水化学<4204>は後場4~9月中間期決算を発表し増収増益。通期見通しは売上高を下方修正、営業利益、純利益を上方修正。年間配当を26円に増額し自社株買いも発表して一段高になり53円高で年初来高値を更新した。

 塩野義製薬<4507>は前日発表の決算への好感が続き119円高で年初来高値更新。田辺三菱製薬<4508>はJPモルガンが目標株価を引き上げ45円高で年初来高値更新。しかしエーザイ<4523>は昼休みに発表した4~9月中間期決算が営業利益59%減、経常利益81%減と悪く後場マイナスに沈み50円安。エボラ出血熱はWHOの最新統計で全世界で死者5000人、感染者1万3000人を超えたと推定され下火になる気配なし。しかし関連銘柄の株価は下火で、富士フイルムHD<4901>は12.5円安で続落、日本エアーテック<6291>は82円安で値下がり率2位。その中でマスク素材のダイワボウHD<3107>は4~9月中間期の利益予想を上方修正して1円高だった。

 日銀会合での金融緩和に期待し不動産セクターは業種別騰落率トップ。三井不動産<8801>は91.5円高、三菱地所<8802>は42.5円高、住友不動産<8830>は61.5円高。決算発表直前のオリエンタルランド<4661>は、2017年に東京ディズニーランドに「アナと雪の女王」のテーマゾーンを設けると報じられ、会社側は否定したが335円高で年初来高値を更新した。

 ネット関連では、クックパッド<2193>は14億円でベイルートに本社がある大手レシピサイトの運営会社を買収と報じられたが「大引け劇場」でマイナスの沼に引きずり込まれ10円安。ヤフー<4689>は前日に4~9月中間期決算を発表。売上高は3%増だが営業利益は4%減で初の減益。「Yahoo!ショッピング」の店舗数は1年で約10倍になったが出店無料化に伴う減収、販促費など負担増が響いた。純利益は2%増。4~12月期の業績見通しは売上高が約2%増の3059~3079億円、純利益が4~6%減の1399~1420億円のレンジで示されている。売買高7位に入ったが終値は23円安で年初来安値を更新し値下がり率8位だった。

 任天堂<7974>の4~9月中間期決算は売上高は12.8%減、営業損益は4年連続赤字2億円で、経常利益は18倍の221億円、純利益は24倍の143億円。経常増益は円安差益の寄与分が大きいが、「Wii U」の販売台数が伸びソフトでも「3DS」向けのヒット作が出て115円高。売買代金10位。退院した岩田聡社長は「年末年始商戦に向けて手応えを感じている」と話しており、いつまでも泣くなよ任天堂。ゲーム関連銘柄はカプコン<9697>が4~9月中間期決算の純利益42%減にめげず128円高で値上がり率11位と健闘したが、コロプラ<3668>が160円安で値下がり率16位、エイチーム<3662>が115円安など全般にさえなかった。

 新規IPOが1件。東証マザーズにアルファポリス<9467>が新規上場した。SF映画のような社名だがネットで話題の小説やマンガなどのコンテンツを書籍化する事業を行う。「紙の本」を出すが広い意味では電子書籍関連。公開価格2200円に対し1時3分に93.1%高い4250円の初値がついた。しかし終値はストップ安のケチもついて3550円と後味はよくなかった。

 主力株の上昇や「大引け劇場」に投資家の目が向き新興市場は日経ジャスダック平均0.20%下落、東証マザーズ指数1.81%下落と軟調。ガンホー<3765>は9月末時点の「パズドラ」の累計ダウンロード数が3000万を超え、1~9月期決算の売上高が14%増、子会社の全株式をソフトバンクに売却して特別利益75億円を計上し純利益は17%増の497億円だったが、市場予測を下回り43円安。タカラバイオ<4974>は後場急伸し117円高。直近IPO銘柄は「新人」が仲間入りする日は張り切る傾向があり、JIA<7172>はストップ高の1500円高、セレス<3696>は75円高、FFRI<3692>は40円高だったが、オプティム<3694>は280円安。

 この日の主役はキーエンス<6861>。4~9月中間期決算は、営業利益は30.6%増の822億円で過去最高益を更新しリーマンショック後で初めて営業利益率を50%台に乗せた。年間配当を60円から200円に大幅増配し、野村證券が目標株価を引き上げ売買代金15位と買われた。終値は2745円高の50360円で5.76%上昇し一気に5万円の大台に乗せて上場来高値更新。7年ぶりの大幅増配でも高株価で配当性向が低いのが玉にキズだが、東証が推奨する売買単位引き下げや株式分割の実施が期待される。自動車の生産ラインのセンサー類が好調で、物流倉庫で使われるバーコードリーダーもネット通販の拡大で売上を伸ばしている。3Dプリンターも販売。バイオなど研究施設向けのデジタル顕微鏡も売れ、開発・改良した科学者が今年のノーベル化学賞を受賞した「蛍光顕微鏡」もオリンパス<7733>とともに生産している。(編集担当:寺尾淳)