据え置き型ゲーム機「WiiU(ウィー・ユー)」の不振が、相変わらず任天堂<7974>を苦しめ続けているものの、しかしそこに一条の光が差し始めている。任天堂は29日、9月中間連結決算を発表。それによれば、売上高は前年同期比12.8%ダウンの1713億円、そして本業のもうけを示す営業損益は2億円の赤字であり、こうして中間営業赤字となるのは4年連続のことである。ただし、前年同期の赤字は232億円であり、それと比較すると赤字幅は大幅に縮小した。不振が続いているものの、7~9月期には「WiiU」の売り上げに回復傾向がみられたため、赤字幅が大きく縮小する結果となった。そして最終利益は前年同期の23倍の143億円と大きく増加した。また15年3月期の営業利益については、これまで通り400億円の黒字のまま据え置いた。
10月に発売が開始された携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の新しい製品、「New(ニュー)ニンテンドー3DS」を待つ買い控えが発生したことにより、「ニンテンドー3DS」の販売数が減少。それより、売上高は前年同期比12.8%ダウンの1713億円という結果となった。しかしそれに対して、「WiiU」の販売台数は前年同期の2.4倍に増え、112万台という結果であった。その販売台数のうち、7月以降に売れた数は61万台であった。これは、5月末に発売された人気タイトル「マリオカート」の新しいソフト「マリオカート8」などの人気ソフトによるところが大きい。そして12月にはやはり人気タイトルである「大乱闘スマッシュブラザーズ」や、マリオなどの人気キャラクターのフィギュアとゲーム機を連動させることのできる「Amiibo(アミーボ)」の発売も予定しており、「WiiU」に吹いた追い風に乗って、年末商戦にてさらなる巻き返しを図りたい考えだ。
かつて家庭用ゲーム機の王者的存在であった任天堂も、「プレイステーション4(PS4)」などを販売するソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)に押され辛酸を舐めさせられている感もあるが、しかしこの「WiiU」好調の波に乗り、再び浮上することができるかどうか、今年の年末商戦の動向に注目したい。(編集担当:滝川幸平)