スマートフォンの普及に伴い、アプリを利用してニュースを見る人が増えている。ICT総研のレポートでは、日本国内におけるモバイルニュースアプリの利用者数(アクティブユーザー数)は、2012年度末の303万人から、13年度末には4倍の1294万人へと急増した。モバイル端末上でニュースを見るユーザーの多くはこれまで、ニュースアプリではなくネットブラウザ上のポータルサイトを利用していた。12年度末までは、ニュース閲覧の約9割がブラウザ上のポータルサイト経由だったという。ICT総研によると、今後もブラウザ経由のユーザーは3000万人規模で推移する見通しだが、ニュースメディアの主役は「徐々にニュースアプリに移行する」と見られる。
同総研が2014年10月に実施したアンケート調査では、4294人のアンケート対象者のうち41.9%が「1年以内にニュースアプリを利用したことがある」と回答した。ニュースアプリのうち、最も利用率が高いのは「Yahoo!ニュース」で31.7%。次いで「グノシー」(7.3%)、「スマートニュース」(6.8%)、「LINEニュース」(6.3%)の順となった。「Yahoo!ニュース」のアプリ利用率が著しく高いが、これは元々、パソコンやスマートフォンのYahoo!ポータルサイトのユーザーが5000万人以上いるためだ。使い慣れた同じコンテンツを利用できるYahoo!ニュースの利用率が1位なのは「当然の結果」という。
トップのYahoo!とは差が大きいが、12年にサービス提供を始めたグノシーやスマートニュースも、すでに利用率7%前後と健闘している。グノシーは今年3月、KDDIと業務提携し、多額の出資を受けた。潤沢な資金でテレビCMなどを積極的に打ち、2014年9月末時点のアプリダウンロード数は600万件を突破している。後を追うスマートニュースは、8月にグリーなどから出資を受けた。グノシーに負けじとテレビCMを打ち、ダウンロード数は9月末に500万件を達成。今後も、競争は激化しそうだ。
ニュースメディアの中心はこれまで、紙媒体の新聞やテレビが担ってきた。が、若年層を中心に新聞離れが続き、ここ数年でネットニュースが中心になりつつある。ICT総研では今後、「紙媒体とネットメディア間の競争よりも、ネットニュース内での読者獲得競争がより重要になる」と見ている。(編集担当:北条かや)