モンストのミクシィが大幅黒字増 加熱するスマホゲーム業界

2014年11月02日 19:35

 10月29日、ミクシィ<2121>の2014年4~9月期連結営業利益が、140億円の黒字になると一部報道が伝えた。ミクシィ側はこの報道に対し、当社発表ではなくあくまで見通しで数値は精査中と述べたが、会社側の従来予想でも130億円の利益を見込んでおり、約4億円の赤字だった前年同期に比べ大躍進となるのは間違いない。

 ミクシィ躍進の理由は、スマートフォンアプリゲーム「モンスターストライク」(通称モンスト)の大ヒットによる課金収入だ。スマホゲーム業界は、昨年まではガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>の「パズル&ドラゴンズ」(通称パズドラ)の一人勝ち状態が続いていたが、今年に入り「モンスト」としのぎを削る争いとなっている。

 ユーザー数1500万人を記録した「モンスト」に追い上げられていると言っても、もちろん「パズドラ」も負けてはいない。こちらは、ユーザー数3100万人を突破。ガンホーは今年の1~9月期決算で、過去最高を更新する750億円の営業利益を記録した。通年でも過去最高益を更新する見通しだ。両社の大躍進により、スマホゲーム会社の株価はトレーダーの間でも注目の銘柄となっている。

 「モンスト」はおはじきやパチンコのような感覚で、自分の味方モンスターを引っ張り、敵にぶつけて遊ぶゲーム。一方「パズドラ」は、色違いのパズルの組み合わせで敵を倒すゲームだ。いずれも簡単な操作性ながら奥が深く、無料でも十分に楽しめるが、より強力な味方レアモンスターを手に入れたり育てたりするには、課金が必要な場合もある。

 課金を惜しまないコアユーザー向けのステージから、無課金で遊びたいライトユーザー向けのステージまで、こまめなアップデートやキャンペーンで対応し続けているのがヒットの要因だろう。ここ2年ほどで、一気に家庭用ゲーム機がスマホゲームにシェアを奪われた感があるが、ユーザーの声に応じて、常に最新型のゲームデータを更新・配信して飽きさせない工夫を続けられるところがスマホゲームの強みだ。

 9月には、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」など、家庭用大ヒットゲームを産み出してきたスクウェア・エニックス<9684>が、スマホゲーム「ファイナルファンタジー・レコードキーパー」(通称FFRK)の配信を開始した。歴代「ファイナルファンタジー」シリーズのキャラクターが総登場するのが売りで、画面も懐かしいドット風だ。ファミコンやスーファミで同シリーズに親しんだアラサーをメインターゲットに、配信開始から3週間で200万ダウンロードを達成した。

 熱の衰えぬ「パズドラ」、「モンスト」。さらに「FFRK」も加わり、スマホゲームの勢いはまだまだ収まりそうにない。(編集担当:久保田雄城)