日本の高齢者の体力数値が十数年前より大きく伸びていることがわかった。文部科学省が行った2013年度体力・運動能力調査結果によれば、高齢者の身体力テスト数値は15年前から右肩上がりで、調査が始まった1998年度から比べ、いずれの項目においても上昇しているた。
文科省は、前回の東京オリンピックが開催された1964年度から体力・運動能力テストを実施してきた。テスト自体は今回で50回目を迎える。1998年度からは調査項目に、高齢者の体力テストを加え、変化を追ってきた。
テスト結果では、高齢者の握力、上体起こし、長座体前屈、開眼片足立ち、10m障害物歩行、6分間歩行――のいずれの項目でも、調査がはじまった1998年から体力数値の点数は向上していた。
6分間歩行では75~79歳男子で、約530m(1998年度)から約580m、同じく女子で約480mから約530mまで、いずれも50m程度平均値が上昇した。
開眼片足立ちでも75~79歳男子で約45秒(同)から約55秒、女子で35秒から50秒以上へと大きく伸びている。
なお、調査では対象者の居住地によって「大・中都市」「小都市」「町村」にわけている。傾向として、「大・中都市」居住者が、「町村」居住者よりも、体力テストの数値が良いことも分かった。
世界トップレベルの長寿を誇る日本だが、命の終わりを意味する「寿命」と介護を必要とせずに自力で暮らしていける「健康寿命」の間には開きがあることが指摘されている。試算によれば、この差は男性で9年、女性12年ともいわれている。
長寿国とはいっても、寝たきりでの長生きを望む人はいないだろう。今回の調査結果では、ここ十数年で高齢者の体力が大きく伸びてきていることがわかった。個々人の日々の運動習慣などと行政のサポートで、この点数をさらにあげていき、「寿命」と「健康寿命」の差が小さくなればこれにこしたことはないだろう。(編集担当:横井楓)