宮地エンジニアリング<3431>は、2015年4月に三菱重工業<7011>から橋梁関連の子会社三菱重工鉄構エンジニアリングの51%分の株式譲渡を受け子会社化するという発表があったが20円安で値下がり率4位。三菱重工は3.4円安。公共事業関連ではあるが橋梁の競争環境は厳しい。鉄鋼セクターは野村證券が2銘柄のレーティング、目標株価を引き上げて業種別騰落率第2位。対象の新日鐵住金<5401>は8.2円高、JFEHD<5411>は38.5円高。神戸製鋼<5406>は3円高だった。
7日に4~9月中間期決算を発表した大和ハウス工業<1925>は経常利益17.5%増と好調。通期の経常利益見通しを1690億円から1720億円に上方修正し、減益率は2.5%減に圧縮される見込み。SMBC日興証券が目標株価を引き上げ12.5円高で年初来高値更新。化学品の東洋合成工業<4970>は4~9月中間期に感光性材料事業の売上高が計画を上回り、通期営業損益見通しを1.7億円の赤字から2.6億円の黒字に上方修正しストップ高の400円高で年初来高値を更新した。
傘下のアメリカのセブンイレブンが郊外型主体の店舗戦略を転換し、2015年以降は新規出店の8割以上をNYなど大都市中心部にすると報じられたセブン&アイHD<3382>は4円安。日本流で成長を狙う。10月に東証1部に再上場したすかいらーく<3197>はセカンダリーの株価が低迷していたが、野村證券が新規に「バイ」、目標株価1400円の好投資判断を出すと51円高になった。
ゴルフ用品のダンロップスポーツ<7825>はサッポロHD<2501>傘下のフィットネスクラブ、サッポロスポーツプラザ「PAL」(川口市、浦安市、札幌市)を買収すると報じられ2円高で年初来高値更新。サッポロHDは1円高。日本生産性本部「レジャー白書2014」によると、2013年のゴルフ関連の市場規模は前年比約1%減で長期低落傾向に歯止めがかからないが、フィットネスクラブの市場規模は前年比約2.9%増と持ち直していて、勝ち馬にお乗り換え? 同じくスポーツ用品のアシックス<7936>は円安効果が出て12月期通期の営業利益見通しを275億円から290億円に上方修正。期末配当予想も18円から21円に増額修正し野村證券が目標株価を引き上げ90円高で年初来高値を更新した。しかし「レジャー白書2014」によるとジョギング・マラソン人口はブームと言われながら最近は2500万人前後で意外にも横ばい。「ペースメーカー」のマスメディアだけが独走しているのだろうか?
MSCI指数採用が決まったミクシィ<2121>が7日に好決算を発表。4~9月中間期決算は売上高約9倍、営業損益が前年同期の約4億円の赤字から143億円の黒字に転換、最終損益は前年同期の約13億円の赤字から90億円の黒字に転換。通期業績見通しは売上高約8倍の1000億円、営業利益約94倍の450億円、最終損益は前期の赤字から290億円の黒字に転換し、いずれも過去最高。未定だった期末配当予想は前年同期比35円増の49円、年間配当予想は58円増の72円とした。10月27日に全世界のユーザー数1500万人を突破した「モンスターストライク」課金収入のおかげ。売買代金は991億円で、ソフトバンクの716億円をしのいで東証全銘柄トップと大物ぶりを発揮したが株価は490円安。逆にMSCI指数からの除外が決まったDeNA<2432>は、7日発表の4~9月中間期決算は純利益5割減と散々だったが7~9月期に利益の悪化に歯止めがかかったという理由で売買高11位、売買代金4位と買いを集め192円高で値上がり率2位。理屈と膏薬はどこへでもつく。期待の新作「Age of Empires: World Domination」のリリースを今秋から2015年に延期したKLab<3656>は111円安で値下がり率14位になった。
東証1部の主力銘柄の軟調を尻目に、新興市場は日経ジャスダック平均は0.42%上昇して高値引け、東証マザーズ指数も0.23%上昇して高値引けという活況。ミクシィの身代わりのようにクルーズ<2138>が上昇しストップ高の500円高。直近IPO銘柄はエラン<6099>700円高、アルファポリス<9467>74円高、オプティム<3694>300円高、FFRI<3692>は一時ストップ高の2460円高だったが、JIA<7172>は東証が信用規制を強化し年初来高値を更新しながら終値は180円安だった。ビックデータ解析のホットリンク<3680>は中国語の「つぶやき」データを販売するアメリカのエフィウスを約25億円で買収しストップ高の300円高。みんなのつぶやきを世界的規模で集めればビジネスになる。エナリス<6079>は突然、自社ホームページでこの日予定していた決算発表を14日に延期すると発表し憶測が乱れ飛んで65円安。過去の「お家騒動」ではよくあったこと。愁嘆場にならないように。
この日の主役は「総還元性向」という言葉。純利益に対する配当の比率を「配当性向」と言うが、配当だけでなく自社株買いや株主優待なども全部含めた株主還元策の総額の比率のこと。名古屋が本社の老舗インテリア商社、サンゲツ<8130>は7日、2016年度までの3年間で「総還元性向」を100%以上にすると発表した。将来は自己資本を100~200億円圧縮し、ROEを8~10%に伸ばすという「ROE経営宣言」で、110万株、30億円上限の自社株買いと208万株の自己株消却も合わせて発表しストップ高比例配分の502円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。続いて11時、増収減益の4~9月中間期決算と通期見通しの据え置きを発表した電気化学工業<4061>が呼応したかのように「総還元性向50%」と言い出し、株価は即座に反応して19円高。誰の入れ知恵なのかマーケットの「にわか流行語」と化していた。この言葉は使わなかったが5月に「利益を全て株主還元する」と宣言した〃先輩〃アマダ<6113>は3円安。その総還元性向は100%になる。
(編集担当:寺尾淳)