DJ機器事業の譲渡などの構造改革により業績の立て直しを図り続けているパイオニア<6773>が、7日に2014年9月中間連結決算と、15年3月期の業績予想を発表した。それによれば、連結純利益を従来の予想である20億円から大幅に上方修正し、200億円とする。またDJ機器事業の譲渡により特別利益も580億円計上し、それによって構造改革費用などの特別損失330億円を補填することができるため、黒字計上となる。売上高などはこれまでの予想を据え置いた。
そして14年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比0.2%ダウンの2359億円、営業利益が前年同期の約5.9倍の33億円、最終損益は前年同期が49億円の赤字であったのに対して、24億円の赤字であった。原価率の改善により営業利益は大きく伸長、しかし7~9月期にドル高が進行したことにより外貨建ての借入金などで為替差損が生じたため、最終赤字となった。
この結果を見る限り、パイオニアの業績はある一定の回復を遂げたと言えなくもない。市販向けのカーナビゲーションシステムの販売が苦戦したことなどもあって、黒字転化といった大きな回復はなしえなかったものの、原価率の改善や販売管理費のコストカットなどが一定の効果を表し、営業利益は大幅に伸び、また売上高もわずかなマイナスにとどまった。
パイオニア復活の鍵を握るのが、カーエレクトロニクス事業なのだが、こちらの14年9月期の売上高は前年同期比3%ダウンの862億円で、営業利益は前年同期より24億円減って36億円であった。OEM(相手先ブランドによる生産)におけるカーナビゲーション、カーオーディオなどは好調に推移したものの、市販向けのカーナビゲーションの不調が足を引っ張る形となり、営業利益が大きく減少することとなった。そしてパイオニアは、20年3月期までにOEMにおけるカーナビゲーション事業を、14年3月期よりも30%拡大させるという中期経営計画を発表している。
改善の傾向はみられるものの、まだまだ安心できる状態にはない。パイオニアの業績立て直しが完了するまでには、まだまだ時間が必要な気配だ。(編集担当:滝川幸平)