野田佳彦前総理が安倍政権の下で「格差拡大、中間層解体の懸念が強まっている」と指摘。そのうえで「失業したり、病気やケガで倒れたり、年老いたり、困ったり弱ったりした時のセーフティネット(安全網)」となる「社会保障の充実・安定化を図らなければならない」とし、社会保障制度の安定した継続と「過度な借金の押しつけを将来世代にしない」ために、来年10月からの消費税10%実施は「基本的に、法律通りに粛々と判断すべき」と当初計画通りに引き上げる判断をすべきとの考えを示している。
野田前総理は、ここにきて引き上げるかどうか迷わなければならない状況になっていることに安倍総理の責任をあげ「国民の理解を得るための環境を作ろうとしてこなかったことに憤りを感じる」とするとともに「「消費増税を見送ることはアベノミクスの失敗を意味する」としている。
また、安倍総理が国民の理解を得るための環境づくりをしてこなかったことは3点とし、1点は「どのように社会保障を充実させていくのか、特に、来年4月から本格施行を予定している子ども・子育て支援新制度を具体的に国民に示しきれていない。逆に、社会保障費圧縮の議論ばかりが先行し、法人税減税の検討も同時並行で進んでいるので、国民は何のための消費税引き上げなのか判らなくなっている」と指摘。
2点目に「身を切る改革。議員定数の削減を実現することを条件に衆院解散を約束し、(解散から)2年になるが、約束が果たされていない。討論直後に覚書も交わした。必ず実現しなければ国民も納得しない」。
3点目には経済成長。「税法の付則に景気条項がある。経済状況等を総合的に勘案した上で増税するかどうかを判断するという条項。景気が悪い場合は増税の延期や中止もあり得る」。こうした点を踏まえた環境づくりへの努力をしてこなかったとし、「消費増税を見送ることはアベノミクスの失敗を意味する」と予定通りの実施を迫っている。(編集担当:森高龍二)