写真は京都の観光地・嵐山。10月1日からの免税対象拡大を見据え、今夏以降免税店が一気に5店舗も開業した。現在も数店舗が出店申請中だという。日本各地で免税店が増えつつあるが、やはり京都のような観光都市ほど反応が早く、力を入れている様子だ。
外国人観光客増加のための取組みである、「外国人旅行者の消費税免税」が10月1日に始まってから1ヶ月が経過した。これまで免税対象でなかった食料品・飲料品・薬品・化粧品・その他消耗品の消費税が免税され、観光地では外国人向けに特産品などの販売に力を入れる店舗も増え始めている。
免税の条件は、旅行者1人につき、同一店舗で1日の間に新規免税対象品を5000円以上50万円以内で購入すること。そして、国内で消費しないように、必ず決められた形の梱包を行うことが定められている。店舗側も、「あと1品買っていただくと5000円以上で免税になりますよ」などのセールストークで、地域特産の食品などを売り込んでいるようだ。
従来の免税対象は家電製品や着物・衣服・鞄などであったため、お土産はメイド・イン・ジャパンの電化製品や、着物などの和風な品目に偏る傾向があった。しかし、今回の免税対象拡大により、日本酒などの地酒や名産の食品・お菓子などもお土産の選択肢としてぐっと広がり、客数・単価ともに伸びている店舗も多いようだ。観光客増加による地域活性化にもつながるため、注目が集まっている。
しかし、1ヶ月が経ち、成果とともに課題も浮き彫りとなってきている。外国人観光客自身にまだ免税制度の拡大が認知されておらず、また、それを説明しようとしても言葉の壁などがあり四苦八苦することも多いという。店舗によっては、外国語のポスターやのぼりでアピールしている所もあるようだが、そうした努力は今後一層必要だろう。
2014年4月時点での観光庁のデータによると、現在日本全国には5700以上の免税店があるが、その内約2200店が東京に集中している。その他も大阪・福岡などの都市部が多く、秋田県や岩手県などは2店舗しかなく、島根県はわずか1店舗しかない。今回の免税対象の拡大は、地方にも免税店を出店し、都市部以外にも外国人観光客を増やすことが大きな狙いとなっている。国の目標は、2020年時点で全国免税店1万店だ。しかし、免税制度対応の店舗を開設したくても、税務署の手続きが必要なため、簡単に店舗が開けないという現状もある。小売店側だけでやろうとするのではなく、自治体や都道府県が協力して観光地に免税店を増やしていく取組みも必要だ。
今回の免税対象拡大で、特に増えているのが日本酒の販売だという。こうしたきっかけから、数年後には日本酒や国内名産食品が世界でもっと親しまれている日も来るかもしれない。そうした未来にも期待しつつ、今後の観光誘致活性化の動きを見守りたい。(編集担当:久保田雄城)