12日のNYダウはロシア軍のウクライナ侵入のニュースもあり前日終値付近のもみあいの末の2.70ドル安で「ウォール街特急」7日ぶりに停車。NASDAQは14ポイント上昇で、むしろそのほうがハイテク立国ニッポンの株には好材料。34丁目のメーシーズは決算が評価され5.1%上昇。JCペニーも同様で7.8%上昇し、27日の感謝祭から始まる年末商戦期待で小売株が幅広く物色された。金融株はシティGが0.7%下落、JPモルガンは欧米の金融界を揺るがす外国為替の不正取引問題で罰金処分を受け1.3%下落した。アップルは1.4%上昇。13日朝方の為替レートはドル円は115円台半ば、ユーロ円は143円台後半で、円高方向に戻っていた。
解散・総選挙は「12月14日投開票」という日程の話も出て与党主導で既成事実化が進行。こんな流れは「あらがえないもの」で、逆らうとヤケドする。自民党が円安対策を選挙公約にするという話、自民党経済産業部会が法人税の実効税率の3%程度の引き下げを党の税制調査会に要望する話も出ていた。CME先物清算値は17225円。取引時間前に発表された経済指標は、10月の国内企業物価指数は前年同月比2.9%増でも前月比で0.8%減少し市場予測を下回ったが、9月の機械受注は2.9%増で4ヵ月連続プラスで市場予測を大きく上回った。7~9月期実績は5.6%増、10~12月の見通しは0.3%減。
日経平均は5.05円安の17192.00円で始まる。TOPIXもマイナスでスタート。直後にTOPIXとともにプラスになり1分後に17210円まで上がるがつかの間で、午前9時17分には17100円を割り込み17099円の安値をつけるが、その直後からV字回復し9時台のうちにプラスまで戻って9時54分に17230円の高値をつけるという、序盤から上下に大きく振らされる展開。NYダウ小幅安、円高進行、解散・総選挙、消費増税先送り、法人減税、強弱入り交じる経済指標、GPIFや日銀の買い支え、要人発言など多くの要素が複雑にからみあう。10時台、前日終値をはさんだ小動きに収束しようやく落ち着いた。上海市場、香港市場は序盤プラス。10時台後半から日経平均は一段高となり10時55分に17255円まで上げた後は17250円近辺で動いて、前引けは17242円だった。
後場は再開直後からはね上がる。アッと言う間に17300円を突破し、午後0時44分に17365円まで上昇。前日の黒田日銀総裁の発言「追加緩和は消費増税が前提」に対し、午前中に菅官房長官が「消費増税は政府が判断すること」とコメントし、それが「消費増税先送りもありうる」と解釈された。一方、自民党の大島理森元幹事長は「解散決定とみていい」と発言。1時台前半は17300円台前半の水準を維持する。1時30分、9月の鉱工業生産指数確報値が発表され。前月比2.9%増で2.7%増の速報値を上回った。製造工業の稼働率指数は3.6%増。それに反応したかのように1時34分には17395円まで上昇。折り返して2時すぎに17300円付近まで下げるが、2時台は為替の円安進行を追い風に再び右肩上がりトレンドに変わった。
2時30分に発表された中国の10月の小売売上高は11.5%増、10月の鉱工業生産は8.4%増、1~10月の都市部固定資産投資は15.9%増でいずれも市場予測を少し下回ったが、日経平均はお構いなしに先物主導で終盤上昇し17400円に接近し、2時56分に17400円にタッチ。途中、崩される気配もなかった。終値は195.74円高の17392.79円で3日続伸し終値ベースの年初来高値を更新した。日中値幅は301円と大きい。TOPIXは1390台に一時タッチして+12.46の1389.51。売買高は24億株、売買代金は2兆5665億円だった。
値上がり銘柄は1297で全体の70%を占めた。値下がり銘柄は433。29業種が上昇し4業種が下落。プラスセクター上位は水産・農林、倉庫、その他金融、保険、小売、化学など。下位は空運、機械、海運など。マイナスセクターは鉱業、金属製品、ガラス・土石、建設などだった。
日経平均採用225種は値上がり175銘柄、値下がり45銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>、2位はソフトバンク<9984>、3位はファナック<6954>と「御三家」が顔合わせし合計+67円で上昇幅の約3分の1を占めた。マイナス寄与度1位は日揮<1963>で-2円、2位はトレンドマイクロ<4704>で-1円だった。
みずほ<8411>0.4円高、三菱UFJ<8306>9.1円高、三井住友FG<8316>50.5円高とメガバンクは順調。野村HD<8604>は3.3円高。自動車大手はトヨタ<7203>は91円高、ホンダ<7267>は34円高、電気自動車「リーフ」で使われた蓄電池を二次利用し、自社施設で電力需給を調整できる大容量蓄電システムを構築し電力コストを節約すると報じられた日産<7201>は11.5円高。節電支援サービスの展開も視野に入れる。ボーイングの次期大型機「777X」だけでなく、2015年度から次期小型機「737MAX」の構造部品も生産すると報じられた富士重工<7270>は売買代金8位で1円安。東洋ゴム工業<5105>は前日に1~9月期決算を発表。営業利益37.8%増、純利益は3.8倍で、ともに第3四半期過去最高益。12月期通期見通しは据え置いたが143円高で年初来高値を更新し値上がり率7位。タイヤ4社の1~9月期決算が出揃い、全て増収増益でブリヂストン<5108>は27.5円高、横浜ゴム<5101>は23円高、住友ゴム工業<5110>は30円高で年初来高値を更新した。
ソニー<6758>は15.5円安で5日ぶりに反落。シャープ<6753>は1円高、東芝<6502>は3.3円安。パナソニック<6752>はデジカメとスマホを融合した戦略商品を開発して15.5円高。スマホのカメラ機能を凌駕し4K対応の高画質撮影ができるデジカメにスマホ機能を搭載したタイプで、デジカメ復権で同事業の赤字解消を目指す。富士通<6702>は11月中に企業向けに、さまざまな機器をネットで結ぶ「インターネット・オブ・シングス(IoT)」の効果を10分の1の低コストで手軽に確認できるサービスを始めると報じられたが、関係の深いシスコシステムズの減益決算が影響し21.1円安で5日続落。NEC<6701>も1円安で6日続落した。
OKI<6703>はトヨタ車体と組み2015年度にも1人乗り小型電気自動車「コムス」を使った「銀行店舗」を約300万円で実用化すると報じられ1円高。銀行員が乗りATM同様の入出金取引ができる超小型店舗。トレンドマイクロの1~9月期決算は売上高5.1%増、営業利益13.1%増、最終利益10%増。目標株価を三菱UFJ証券は引き上げ、野村証券は引き下げて45円安。市場予測を上回ったが7~9月の営業利益が6.9%増と減速した点を問題視された。TDK<6762>は150円高、東京エレクトロン<8035>は166円高でどちらも年初来高値を更新した。
ペットボトル成型機メーカーの日精エー・エス・ビー機械<6284>は前日に9月期本決算を発表。売上高14.3%増、営業利益20.4%増、純利益12.4%増で、期末一括配当を30円から40円に増額。2015年9月期は売上高10.6%増、営業利益13.3%増、純利益4.0%増の見通しで期末一括配当は40円予想。336円高で値上がり率1位になった。鵜浦博夫社長が日経新聞のインタビューで成長戦略の柱、海外のクラウドコンピューティング事業の関連子会社を再編し、経費を圧縮して収益性を高める方針を明らかにしたNTT<9432>は売買代金16位で84円高だった。積水ハウス<1928>はサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を年間50棟建設して全国展開すると報じられ12円高。専門の新会社を設立し高齢者向け住宅関連事業の年間売上高を1000億円に引き上げるという構想。