ワタミの中間決算、96年の上場以来初の営業赤字

2014年11月14日 07:29

 居酒屋業界全体が不振にあえいでいることに加え、企業としてのイメージが損なわれたこと、そして何よりも大切な従業員に対して過酷な勤務体制を強いたことの「ツケ」も無関係ではないように思う。11日、ワタミ<7522>が2014年9月中間連結決算を発表。それによれば、売上高は前年同期比3.7%ダウンの777億円、本業のもうけを示す営業利益は前年同期が24億円の黒字であったのに対して10億円の赤字、そして税引き後の利益も前年同期が5億円の黒字であったのに対して41億円の赤字であったことがわかった。こうして9月中間で営業赤字となるのは1996年の上場以来初めてのこととなる。

 4月に実施された消費税増税の影響を受け、主力である居酒屋「和民」が不振に陥ったほか、介護事業や食事宅配事業の業績も大きく落ち込んだ。そしてワタミは15年3月期の業績予想についても、最終損益を30億円の赤字としている。

 またワタミは、14年度に「和民」などの国内店の閉鎖店舗数をこれまでに発表していた60店舗から102店舗に引き上げるとも発表。人員確保がむつかしい店舗に加え、居酒屋事業の不振から不採算店も併せて閉めるという。それにより10ヶ所の新規酒店も含めて、15年3月末の時点での店舗数は554店舗になる予定だ。店舗閉鎖にともなう減損は、15年3月期に特別損失として計上される。

 これまでワタミは提供する料理やドリンクの安さにより、多くのお客を確保し続けていた。しかし4月に実施された消費税増税により料理を約1割値上げ。その分、質の向上をはかり客離れを防ごうとしたが成果は得られなかった。ワタミは今後、売り上げの約9割を占める「和民」「わたみん家」で料理やドリンクの料金を引き下げ、集客力を高め収益を挙げたいとしている。

 居酒屋業界全体が不振にあえいでいる今、はたして世間的なイメージが決して良いとは言い難いワタミが、どの程度まで業績を回復させることができるのか?料金を安くするだけでは、失ったお客を取り戻すことはむつかしいようにも思う。やはり「生まれ変わったワタミ」を世間にアピールすることが先決ではないだろうか?(編集担当:滝川幸平)