【日経平均】日銀砲が2時台に形勢をひっくり返し98円高

2014年11月14日 20:10

 13日のNYダウは40ドル高で2日ぶりに取引時間中も終値も史上最高値を更新。NASDAQ総合指数も5ポイント上昇した。ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイがP&Gの乾電池事業の買収を発表したが、最大の好材料はウォルマートの市場予測を上回る好決算で4.7%上昇。P&Gは0.98%下落。9月にソフトバンクも色気を見せたアニメ制作会社ドリームワークス・アニメーションの買収を玩具大手のハスブロが交渉中という話も飛び出し、ドリームワークスは14.1%上昇した。ハスブロは4.3%下落。原油先物価格が一時4年ぶりの安値まで下落しエネルギー関連株は軟調だった。14日朝方の為替レートはドル円が115円台後半、ユーロ円が144円台半ばで、前日よりも円安が進行していた。

 新聞各紙では、2015年10月の消費税率10%への引き上げを延期し、1年半ずらして2017年4月に実施する案を軸に最終調整し来週、安倍首相が決断するという見方が強まっていた。CME先物清算値は17410円。指数オプション取引、日経平均ミニ先物の特別清算指数を算出する「オプションSQ(マイナーSQ)」の日の日経平均は127.75円高の17520.54円と17500円台に乗せザラ場ベースの年初来高値を更新して始まった。17500円台は第一次安倍内閣当時の2007年7月26日以来7年4ヵ月ぶり。TOPIXも始値1401.17でザラ場ベースの年初来高値更新。「寄り天(寄り高)」で午前9時8分には17421円まで99円下落しSQ日らしい序盤乱高下。発表されたSQ値は17549.60円とかなり高い。

 為替のドル円が9時16分に116円台に乗せたが、日経平均はSQ値が出た後しばらくして急落。9時34分にマイナスまで落ち17383円の安値をつける。乱高下はおさまらず、10時すぎに数分間で17440円付近と17400円割れのマイナス圏を往復したかと思えば、10時12分には17330円まで急落。ドル円は116円から滑り落ちていた。上海、香港がマイナスで始まった後の10時38分には17300円まで下げる。こんなに波乱に富んだSQ日は久しぶりだが、それでも11時までに値動きは17300円台前半に収束した。11時台は17350円付近まで上昇する時間帯もあり底堅く推移し、前引けは17330円だった。

 前場がマイナスになったので、日銀のETF買い「日銀砲」が撃ち込まれる期待をはらみながら後場再開。まるで「水戸黄門」の印籠。ドル円は再び116円台に乗り、日経平均は前引けより約50円高い水準で始まってTOPIXはプラス。しかし日経平均は前日終値を超えられずマイナス圏で推移し、17350円近辺でくすぶる。TOPIXも前日終値近辺で動かない。1時台はずっとそんな状況が続く。「日銀砲」の印籠は番組の終わり頃に出すもの? 2時10分頃、ついにそれが出て、「御三家」をマイナスにする先物裁定解消売り勢力を「懲らしめてやりなさい」と日銀砲炸裂。2時20分頃にはプラスになり17400円台に浮上するが、相手には「利益確定売りの金曜日」もついているようで手強く17420円台どまり。それでも終盤には為替の円安を味方に優勢になり、「御三家」が下げ幅を圧縮して17450円を超える。上昇すれば「バンドワゴン効果」で「助太刀」も入ってくる。

 17500円を目指す上昇は大引けまで続き、終値は98.04円高の17490.83円で4日続伸して終値ベースの年初来高値を更新した。2007年7月26日以来7年4ヵ月ぶりの水準。4勝1敗、7日終値の16880.38円から610.45円上昇して今週の取引を終えた。日銀緩和の10月31日以後、下落は2日しかなく1077円も上昇した。もっとも、この日は最後までSQ値17549円を上回ることができず、「まぼろしのSQ」が出現。今後、これがレジスタンスラインになり突破の試みをことごとくはね返す「鉄の天井」と化すかもしれない。日中値幅は220円。TOPIXは+10.90の1400.41で終値でも1400の大台に乗せた。売買高は29億株、売買代金は3兆3038億円。

 東証1部の値上がり銘柄数は1148で全体の62%を占めた。値下がり銘柄数は556。33業種別騰落率は32業種が上昇し下落は1業種のみ。プラスセクター上位は不動産、金属製品、精密機器、電気・ガス、空運、海運など。下位は食料品、情報・通信、銀行、機械、卸売など。マイナスは石油・石炭だった。

 日経平均採用225種は値上がり166銘柄、値下がり51銘柄。プラス寄与度1位はTDK<6762>で+9円、2位はホンダ<7267>で+7円。マイナス寄与度1位は東京エレクトロン<8035>で-7円、2位はKDDI<9433>で-3円だった。

 みずほ<8411>は0.9円高、三菱UFJ<8306>は1.9円高。三井住友FG<8316>は前日、通期純利益見通しを6800億円から7000億円に上方修正したが、前期比16%減で市場予測も下回り、年間配当予想を120円から130円に増額修正しても82円安。あおぞら銀行<8304>は、前身の日本債券信用銀行が受けた約1600億円の公的資金を2015年6月までに全額前倒しで完済する準備に入ったと報じられたが値動きなし。公的資金がまだ残るりそなHD<8308>は4円高、新生銀行<8303>は売買高7位で5円安だった。野村HD<8604>は0.3円高。オリックス<8591>は会計ソフト大手の弥生を傘下に収めると正式発表して7.5円高。そのユーザーは120万社を超えるという。

 トヨタ<7203>は39円高で年初来高値更新、ホンダは94円高、日産<7201>は9.5円高、富士重工<7270>は72円高。アイシン精機<7259>はアメリカでの反トラスト法(独禁法)違反事件で罰金41億円の支払いで司法取引が成立した。罰金は特別損失に計上するが通期業績見通しの修正はしないと会社側がコメントし、「影響は軽微」と解釈されて40円高だった。

 ソニー<6758>は51.5円高で年初来高値更新、シャープ<6753>は3円高、富士通<6702>は1.8円安、NEC<6701>は6円安でともに続落止まらず。日立<6501>はイタリアの防衛・航空大手フィンメカニカの鉄道車両・信号事業の買収で最終調整に入ったと報じられ12.3円高。買収金額は2000億円規模。英国で鉄道関連事業を展開する日立は約20兆円の世界の鉄道市場でドイツのシーメンス、フランスのアルストム、カナダのボンバルディアなどに対抗する地歩を固める。船井電機<6839>は液晶テレビ事業の黒字定着を評価されドイツ証券がレーティング、目標株価を引き上げ、109円高で年初来高値を更新し値上がり率15位に入った。

 アルプス電気<6770>はメリルリンチが目標株価を引き上げ115円高で年初来高値更新。TDKはSMBC日興証券が目標株価を引き上げ250円高で連日の年初来高値更新。ジャパンディスプレイ<6740>は4~9月中間期で特別損失を計上し通期の最終赤字が277億円に拡大したが、事前に下方修正したので「悪材料出尽くし」で売買高10位に入り44円高で値上がり率2位。大真空<6962>は4~9月中間期の営業損益が5.9億円の赤字で、その通期見通しを11億円の黒字から10億円の赤字に下方修正。ウエアラブル関連として期待されただけに失望売りを集め31円安で値下がり率1位になった。

 Jパワー(電源開発)<9513>は前日、建設中の青森県の大間原発の安全審査を申請するニュースで大幅高だったが、同原発の安全対策に約1300億円を追加投資すると報じられJPモルガンが目標株価を引き上げ90円高で連日の年初来高値更新。安倍首相は18日にも経済対策の取りまとめを指示する見通しで、国土交通省は住宅購入の支援策「住宅エコポイント」制度の約2年半ぶりの再開を検討中と伝えられた。省エネ性能が高い住宅の「フラット35S」の金利優遇を0.3%から0.6%程度に拡大する方針も固めている。積水ハウス<1928>は1月期通期の純利益を860億円から890億円に上方修正し市場予測も上回った。同時に自社株買い、中期経営計画も発表し92円高で6日続伸し年初来高値更新。マンションの長谷工<1808>も通期の経常利益見通しを300億円から3.8%増の350億円に上方修正し42円高になった。