【日経平均】日銀砲が2時台に形勢をひっくり返し98円高

2014年11月14日 20:10

 第一工業製薬<4461>は前日に上限37.2億円分の公募増資、第三者割当増資実施を発表し、上限なら発行済株式数が約23%増加する希薄化を嫌気され30円安で値下がり率3位。アサヒGHD<2502>はアサヒビールが12月に老舗高級料亭の「なだ万」を買収すると発表したが33.5円安。なだ万は海外にも店舗があり、1年前にユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」はいま世界で大ブーム。ミズノ<8022>は4~9月中間期の最終利益31%増。しかし円安で仕入れコストが上昇し国内では中・高価格帯の商品で苦戦しているため通期の営業利益、純利益見通しを下方修正したが24円高だった。

 小売セクターは消費増税先送りで消費マインドが回復する思惑で好調。百貨店は軒並み高になりJフロントリテイリング<3086>は17円高で年初来高値更新、三越伊勢丹HD<3099>も18円高で上場来高値更新。紳士服チェーンのコナカ<7494>は昼休みに9月期本決算を発表し、増収減益で市場予測を下回ったが終盤上昇して2円高で終えた。

 西武HD<9024>は4~9月中間期決算の経常利益が10%増の241億円で従来予想を上回り、中間期で過去最高益を更新したが値動きなし。大手私鉄14社の4~9月中間期決算は10社が営業減益。関西空港と伊丹空港の運営権売却の入札に三井不動産<8801>に続き、東急<9005>グループ、住友商事<8053>が応札を検討と報じられ東急は4円高、住友商事は20.5円高、三井不動産は78円高。不動産セクターは終盤に急騰して業種別騰落率トップになり、住友不動産<8830>は120.5円高、三菱地所<8802>は77.5円高だった。

 10月1日に経営統合したカドカワドワンゴ<9468>は、ドワンゴの9月期本決算は純利益3%減、KADOKAWAの4~9月中間期決算は最終赤字と悪く、ドワンゴは12月に東京でデザイン、ゲーム、アニメなどの専門学校を経営するバンタンを買収して完全子会社化すると発表したが111円安で値下がり率12位。ネクシィーズ<4346>は9月期本決算を発表し、売上高は10.1%増、営業利益は39.4%増。2015年9月期の業績見通しは、売上高は2.7~20.8%増、営業利益は42.9~78.6%増で期末一括配当は5円。好業績と利益見通しの良さを評価され65円高で値上がり率4位。ガンホー<3765>は中国でモバイルゲームの開発・配信などを手がけるチュコンの株式を取得と報じられ1円高。ネクソン<3659>は前日に12月期通期の業績見通しを発表し、営業利益を547億円から571億円に上方修正し市場予測の545億円を上回り151円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。タカラトミー<7867>は4~9月中間期の営業利益が42.7%減と発表し6円安だった。

 SQ日でもあり主力株に光が当たり、新興市場は日経ジャスダック平均は0.06%下落、東証マザーズ指数は1.40%下落。ネプロジャパン<9421>はストップ高比例配分で300円高。モジュールのアバールデータ<6918>はフィックスターズ<3687>と資本・業務提携。記憶媒体としてフラッシュメモリーを使う記録装置SSDでの技術融合が期待されアバールデータはストップ高比例配分の100円高で、フィックスターズは105円安だった。前日マザーズに新規上場したSHIFT<3697>は後場の1時16分に初値がつき、公開価格1300円の4.62倍の6000円。終値は7000円と見事なデビューを果たした。

 この日の主役は、久しぶりに登場の水素関連のテーマ銘柄。経済産業省はトヨタ、ホンダ、日産など自動車大手と組み、水素ステーションの運営費を官民で一部負担し、現状で値段がガソリンの2倍近い水素燃料をガソリン並みに安く供給できるしくみをつくると報じられた。車両購入時の補助金とともに燃料電池車(FCV)の普及を後押しする。このニュースが水素関連銘柄の買いを刺激し、岩谷産業<8088>は39円高、三菱化工機<6331>は45円高で値上がり率3位、オーバル<7727>は7円高。約1ヵ月後の12月15日には世界初の燃料電池市販車、トヨタ「ミライ」が発売される。燃料代がガソリン車と変わらなくなれば、あとは水素ステーションのネットワークがどれぐらい拡大するかが「究極のエコカー」の普及のカギを握っている。(編集担当:寺尾淳)