このところ、地方銀行の経営統合が相次いで起きており、業界再編の動きに繋がる可能性もある。まず11月4日、地銀最大手の横浜銀行と東京都に本店を置く第二地銀の東日本銀行が、「経営統合の可能性を検討している」と発表した。
このところ、地方銀行の経営統合が相次いで起きており、業界再編の動きに繋がる可能性もある。まず11月4日、地銀最大手の横浜銀行と東京都に本店を置く第二地銀の東日本銀行が、「経営統合の可能性を検討している」と発表した。2016年春頃には共同持ち株会社をつくり、傘下に2行が入る案で最終調整を行っているという。この経営統合が実現すれば、単純合算で総資産は15.8兆円となり、現在、地銀最大グループのふくおかフィナンシャルグループの14.1兆円を超えることになる。
また肥後銀行と鹿児島銀行が10日、経営統合に向けた協議を進めることで合意したと発表した。両行は15年10月1日をめどに共同持ち株会社を設立する方向で準備を進める予定だ。両行の経営統合が実現すれば、総資産は8兆3,000億円。九州・山口では、ふくおかFG(14兆1,000億円)、山口FG(9兆6,000億円)に次ぐ3位となり、地銀グループでは9位となる計算である。
地方銀行は少子高齢化と人口減少により、今後、貸し出しなどで収益をあげていくことが難しくなる。国内の人口減少や、地方都市の過疎化が予想されるなかで、経営の効率化のための経営統合が急務であり、生き残っていくための経営体力の強化が必須だ。横浜銀行と東日本銀行の場合は、横浜銀行が神奈川県を主な営業基盤としているのに対し、東日本銀行は東京都や茨城県だ。そのためお互いに補完し合うことで、収益力を強化する狙いもある。一方で、超低金利が長期化していることも、金融機関にとっては厳しい環境だ。
ただ金融再編を主導しているのは金融庁であるとの見方もある。この夏に同庁は、中長期的に地銀のビジネスモデルが成立しなくなる可能性があると指摘し、業界の再編を含む経営戦略を迫っていた。
地銀大手の横浜銀行が再編に動き出したことで、今後より銀行同士の経営統合の動きが活発になることは確実であると見られている。生き残りをかけた地銀の戦いが始まっている。(編集担当:久保田雄城)